朝晴れエッセーの4月月間賞に、阿部雅俊さん(63)=前橋市=の「転校」が選ばれた。自身の転勤によって転校を余儀なくされた長男への思いを巧みにつづった。ユーモアの中にもにじみ出る哀愁が高く評価された。選考委員は作家の玉岡かおるさんと門井慶喜さん、山田智章・産経新聞大阪文化部長。新型コロナ感染拡大を受け、今回はインターネット回線を使ったリモート形式の選考会となった。
◇
≪受賞作≫
■転校 阿部雅俊さん(63) 前橋市
24年前、転勤に伴って家族とともに引っ越したのは県下一の過疎地だった。転居の手続きなどで役場に行くと転入者は皆無といってよく、職業はすぐに分かってしまう土地である。
転校初日、帰宅した小学2年生の長男は「お父さん緊張したよ」と一言。聞けば、全校児童の前で朝礼台に立って挨拶(あいさつ)したとのこと。初めての転校でも嫌がらずに学校に行き始めたと思った約1カ月後、友達ができないと泣き出した。
長男は表面上嫌がっていなかったものの、学校に馴染(なじ)めず緊張がピークに達していたのかもしれない。転勤は宿命的なものであるが、子がつらい目に遭うことは親として切ない。
そこで長男と同じ通学班の同級生の家庭に訪問を続けるうちに、長男も学校に馴染んでいった。今は別居している長男はその後2回の転校を経験した。
先日、本棚から何気なく長男の小学校卒業文集を見つけた。中を見ると多くの子は修学旅行や運動会の思い出を書いていたが、長男は転校を題材にしていた。新しい学校での不安、友達との確執、いじめに遭ったこと、友達との別れがつらかったことなどが綴(つづ)られていた。
そして最後に「もう家もできたし、転校しなくてすみます。今度お父さんが転勤したら単身赴任するだけです」と、転校の心配が無くなった安堵(あんど)感がにじんでいた。
当時、長男はこの最後の一節のために文集を私に見せなかったのかもしれない。
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May 16, 2020 at 11:00AM
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