運動に最適な時間帯は、それぞれのライフスタイルや睡眠習慣、加えて気分的なものからも影響されることでしょう。もしかしたら朝寝坊のせいで、夜の7時に無理矢理トレーニングをねじ込むこともあるかもしれません…。ですが、それだって完全にサボるよりは、ずっと良いのです。
しかし、運動に最もおすすめの時間帯は、「朝」と言えるのです。朝早くからしっかりと目覚めてトレーニングを行えば、そこには数多くのメリットが潜んでいます。
そこで、イギリスで今注目の人気フィットネスジム「スタークス・フィットネス(StarksFitness)」を創設した、パーソナルトレーナーのジェームス・スターク氏のアドバイスと共に、「朝に汗を流すべき15の理由」をご紹介しましょう。
朝のトレーニングが身体にもたらす15のメリット
スターク氏によりますと、「朝9時前までの運動がおすすめ」とのことです。
1.気が散りにくい
起床直後のあなたは、まだ他の世界と接触していない状態と言えます。つまり、日々のToDoリストに追われることもなければ、嫌な上司からの小言や得意先からのしつこいメールも届かない場所にいるとも言えるのです。朝の1~2時間の間は、他の誰からも干渉を受けない、あなただけの時間。電話やメール、SNSなどの通知に邪魔されたり、ペースを乱されたりすることなく、エクササイズに打ち込むができるのです。
2.食欲を抑える効果も
「運動をすればお腹が減るのでは?」とお思いかもしれません。ですが、朝にトレーニングを行うことで、食欲を抑える効果が期待できるという研究結果があります。
ユタ州にあるブリガムヤング大学の研究によると、朝に45分程度の活発な運動をすることで、食べ物の写真を目にした際の感情的な揺れ動きが低減することが明らかになりました。被験者ごとに調査をした結果、食べ物の誘惑に対する抵抗感が高まっただけでなく、実際に余分なカロリーを摂取せずに一日を過ごす傾向があることも判明しています。
3.全体的な活動量の増加
「朝にトレーニングを行うと、その日の体力を使い過ぎてしまうのではないか?」と心配になるかもしれません。ですが、朝にトレーニングを行っても、その日1日の体力を消耗してしまうことはありません。
ブリガムヤング大学の研究によると、午前中にトレーニングを行った被験者の1日の総活動量が増加することが判明しました。「心理的ハードルを乗り越えてジムにたどり着きさえすれば精神状態が向上し、エレベーターよりも階段を使うようになるなど、より活動的な影響が現れるでしょう」と、スターク氏は言います。
4.脂肪燃焼率の上昇
空腹状態で行う有酸素運動、「ファステッド・カーディオ」についてご存知でしょうか? 必ずしも万人に向けたトレーニングとは言えず、専門家の指導を受けてから行うのが望ましいのですが、減量を目指している方にとっては、脂肪の燃焼率を高める効果が期待できます。
学術雑誌『ブリティッシュ・ジャーナル・オブ・ニュートリション(British Journal of Sports Nutrition)』に掲載された研究結果によると、朝食前にトレーニングを行った10人の男性の脂肪燃焼率が、午後や夜間にトレーニングを行った場合と比較して、最大20%も上昇したことが明らかになっています。
5.脳の覚醒にもつながる
朝のトレーニングは、コルチゾールなどのホルモンの分泌と深い関係にある「概日リズム(生物に本来備わっている、約25時間を周期とするリズム)」との相性もいいと言えるでしょう。
副腎皮質から分泌されるホルモンの一種であるコルチゾールは、 心身がストレスを受けると急激に分泌量が増えることから、ストレスホルモンと呼ばれることもあります。少しネガティブな印象を受けるかもしれませんが、この成分の特徴はそれだけではありません。
コルチゾールには肝臓における糖の新生作用や、脂肪組織における脂肪分解などの働きがあります。生体にとって必須のホルモンであり、意識を目覚めさせ、危機感を研ぎ澄ませる役割も担っているのです。
通常コルチゾールの数値は朝方の時間帯に上昇し、午前8時ごろにピークを迎え、夕方から夜にかけて低下していきます。
6.認知パフォーマンスが向上
朝の運動は、脳を活性化させる効果があると言われています。スポーツ医学専門誌『ブリティッシュ・ジャーナル・オブ・スポーツ・メディシン(British Journal of Sports Medicine)』に掲載された研究によれば、朝に行う中程度~高強度のトレーニングによって意思決定力や注意力、視覚的学習能力などの認知パフォーマンスが向上した研究結果が報告されています。
また、8時間労働の間の休憩時間に軽いウォーキングを取り入れることで、短期記憶が活性化される結果も出ています。運動の目安としては、30分ごとに3分程度のウォーキングを行うことだそうです。
7.筋肉増強を加速
テストステロンとは筋肉を維持・構成し、トレーニングなどの疲労回復においても重要な役割を果たすホルモンです。筋組織の成長を促すこの神経伝達物質が増加することで、DNAの核内受容体と相互的に作用し、タンパク質の合成が促進されます。
体内のテストステロンの量は起床時にピークを迎えるので、朝のトレーニングの恩恵として、より効果的な筋肉の増強が可能になるのです。
8.エネルギーの向上
運動の習慣が身につくことでエネルギーが高まり、疲労感が軽減することが明らかになっています。
精神医学の専門誌『サイコセラピー・アンド・サイコソマチックス(journal Psychotherapy and Psychosomatics)』で発表された研究によると、あまり活動的でなく、疲労感が抜けにくい傾向にある人が運動を習慣にすることで、エネルギーレベルが20%も上昇し、疲労感が65%も軽減されたという結果が明らかにされました。
早い時間帯に運動することによって、1日を通してより多くのエネルギーを得ることができるのです。
9.気分の高揚
運動することで、ドーパミンやノルエピネフリン、セロトニン、エンドルフィンなどの気分を高揚させる神経伝達物質が脳内で放出され、幸福感が促進されると考えられています。また、トレーニングによってアドレナリンやコルチゾールなどのバランスが保たれる効果も認められています。
「肉体を動かすことで、生産的な一日を過ごすための気分や精神状態が整えられるのです。ジムでのトレーニングを終えた後は、よりポジティブな気分に満たされ、そこからの一日を元気に乗り切る準備が完了しているのです」と、スターク氏は述べています。
10.健康的な輝き
心拍数が上がることで血管が拡張し、皮膚を含む全身の血流が活発になります。血流の増加によって、細胞への酸素の供給量が増えると同時に、老廃物が体外へと流し出されます。その結果、健康的な輝きが手に入るというわけです。
11.快眠効果
夜間に行うトレーニングは、就寝前に心拍数と体温を上げることで活力を生み出す効果があります。一方、朝に行うトレーニングは、その夜の快眠を支えることにも効果的です。アパラチア州立大学の研究によると、午前7時に運動を行った人は午後から夕方の時間にジムで汗を流した人よりも速やかに入眠でき、深い睡眠を得られるという結果が出ています。
12.食生活の改善
運動習慣を身につけることで食べ物の好みが変化し、果物や野菜を身体が求めるようになる可能性があります。インディアナ大学で行われた調査によると、1日30分以上の運動を週5回以上行う人の果物や野菜の摂取量は増加しました。反対にほとんど運動をしない人は、果物や野菜をあまり摂らない傾向にあることがわかっています。
「つまり、ジム通いを決意した段階で、より理想的な食生活を選択したことにもなるのです」とスターク氏は言います。
13.糖尿病リスクの低下
ジムで行う運動で血糖値が安定し、2型糖尿病(インスリン分泌不全とインスリン抵抗性による糖尿病)のリスクが低下する可能性があると言われています。
イギリスにあるルーヴェン・カトリック大学が行った研究によると、空腹時に運動をした被験者は、運動前と運動中に炭水化物を摂取した被験者と比べて、耐糖能(血糖値を正常に保つためのブドウ糖の処理能力のこと)とインスリン感受性(肝臓や筋肉などの臓器に対するインスリンの効きやすさのこと)で優れた結果を示したことが明らかになっています。
14.血圧を下げる効果も
血圧を安定させるための最も簡単な方法は、定期的に運動をすることです。そして、運動を行う時間帯によって、さらに良い効果を得ることができるかもしれません。
アパラチア州立大学で行われたルームランナーを用いた研究によると、午前7時台に30分間のエクササイズをした被験者は、午後1時台と午後7時台に同量の運動をした被験者と比べて、血圧が10%低下しました。さらに、そのままの状態が一日中持続し、夜間では25%の差が生じる結果が示されました。
15.運動の習慣化
アメリカ心理学協会が行った調査によると、早朝に運動を行う人々の多くが、その運動を習慣化させることに成功しています。それが身体に好影響をもたらすということは、今あなたにお伝えしているとおりです。
運動前のカフェイン摂取がプラスに働きます
カフェインには、トレーニングの効果を高める働きがあります。運動前にカフェインを摂取することで、スピードや持久力、また運動そのものの質が向上し、運動によるカロリー消費量が増加するという研究結果が出ています。カフェインの他にも、プロテイン・BCAA・クレアチンなども上手に摂取して、理想のボディメイクに励んでみてはいかがでしょうか。
Source / netdoctor
Translation / Kazuki Kimura
※この翻訳は抄訳です。
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