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朝の家事をめぐるバトル、ブチ切れた私に夫がついに改心? - 読売新聞

 親類も友達もいない大都会・東京で子育てに奮闘する元ヤンキーの専業主婦・アッコさん(27)にとって、最も憂鬱(ゆううつ)なのは朝の家事なのだそう。起床してリビングに入った瞬間に出るため息。果たしてその理由とは? 読売新聞オンラインの人気連載「元ヤン子育て日記@TOKYO」。今回のテーマは、だらしない夫との家事を巡るバトルについて。

 めっきり冷え込みが厳しくなった週末の朝。私は憂鬱な気分で、布団から出られずにいた。

 「朝ご飯、作りたくないよぉ……」

 脇では娘がすやすやと眠っている。
 それを確信した私は布団に潜ったまま、スマホを取り出し、マンガを読んで、ゲームをして……。
 「もう起きなきゃ」「ご飯作らなきゃ」。分かってはいるけど、体が動かない。
 そうこうしてるうちに、ゲームの“ライフ”が切れる。
 仕方がない。私はのろのろと重たい体を起こしてキッチンへ向かった。

 その週は、夫の帰宅が遅かった。いつも帰りを待って寝ているから、おかけで体がしんどい。ただ、朝が憂鬱になる理由はもっと別にある。

 この日も私はリビングに入るなり、ふか~いため息をついた。

 テーブルには、飲み残しのお酒のグラスとおつまみの残骸が放置され、キッチンシンクには夕飯の食器が山積みに。ソファには脱いだスーツがペロンとかけられ、夫が深夜までやり込んでいたのであろうゲームのコントローラーが、お菓子か何かの食べ残しが目につく床を蛇のように()っている。

 だぁぁぁぁ! もう、イライラする!
 これらは『起きたらやる』とうそぶく、ヤツの所業だ。

 「家事は専業主婦の大事な仕事」。分かっている。分かっているけど、しんどいものはしんどい。

 怒りを抑えつつキッチンに立ち、朝ご飯の支度に取りかかる。
 起きてきた娘にリクエストを聞く。

 「ご飯とパン、どっちがいい?」
 「パン!」
 (じゃあ、スクランブルエッグとコーンスープとパンとヨーグルトとフルーツと……)

 ご飯が食卓に並んだ時には、「お昼ご飯は何にしようかな? 夜ご飯は……?」と食材が頭の中をグルグル。

 細かいことなんて気にせず、おおらかに生きたいとは思っているものの、娘が朝ご飯を食べているときも、布団にくるまり、起きてこない夫を見ると、「たまには手伝えよ!」と言いたくなる。

 「もう朝ご飯できたよー」「うん……」

 やっと起きてきたと思えば、トイレへマンガを持ち込み、10分近くは出てこない。出てきたと思えば、マンガはポイッとその辺に放り捨て、「はぁー、仕事の疲れがとれないわ。年かな?」って、お前が遅く帰ってきた後、深夜までゲームしてるせいだろ!

 そして、ご飯は食べたら食べっぱなし。
 かと思えば、娘にアニメを見せて、自分はソファに腰掛け、またスマホ!
 その日、私もついにブチ切れた。

 「ちょっと、もういいかげんにしてくれない?」

 すると夫はきょとんとした表情を浮かべて言った。

 「どうしたの? 何で怒ってるの?」

 !! ……………もういいっ!!

 そりゃ、休みの日くらい夫にはゆっくりしてほしい。
 でも、同時にわいてくる「え? じゃあ、私はいつゆっくりできるの?」という疑問。

 この日は一日中ケンカになった。

 週が明けても険悪なムードは続いた。

 帰ってきてもほとんど言葉を交わさず、夫が「今日どうだった?」と聞いてきても「普通」。近くに寄ってきたら「何なの?」と突き放した。夫も仕事で疲れているのか、イライラがつのり、互いに無言の時間が増えた。

 でも、しばらくして、娘のおかげでちょっとした変化が起きた。

 娘は2歳にして、スマホが大好きだ。良くないことだと思い、すぐに取り上げるが、夫は泣いている娘に耐えられないのか、娘がグズるとすぐにスマホを与えてしまう。

 最近ハマっているのは、「自分の写真を見ること」。

 その日も夫からスマホを渡された娘は、「みーちゃんと~ばあばと~じいじとぉ~」「ダンボ! ダンボのりたいな~」って具合に、指を器用に動かしながら、一枚一枚、写真を私たちに見せてきた。

 はぁ、また始まったよ。あんたがスマホを渡すから……。

 ちょっとイラッとしながら、娘に付き合っていた私だったが、一枚の写真に目がとまった。

 「うあ(これは)~、パパと~ママと~みーちゃん!」と娘が笑顔いっぱいに見せてきたのは、3人で遊園地に行った時の写真。夫と私はいかにも疲れ切った感じで、バレバレの作り笑顔を浮かべている。おまけに、自撮りだったからか、微妙に手ぶれもしているし、なんともしょぼくれた親子だこと……。

 そう言えば、この日、あまりにも疲れ切っていた私は帰る間際、突然、「トランポリンに乗りたい」と言いだした。

 夫は「なんで?」と聞いてきたが、私にも理由はよく分からない。ただ、無性に飛びたくなった。高く飛んだら疲れも吹き飛ぶと思ったのだ。

 苦笑いを浮かべる夫が、娘とともに下から見守り、私はトランポリンで思い切り飛んだ。夕焼けの空に向かって、体がふわりと浮く度に周りの景色が変わる。なんだか別世界に来たみたい。いつの間にか、心の中のいろんなモヤモヤが吹っ飛んで、笑いが止まらなくなった。

 写真を見て、私は思わずつぶやいた。

 「結構、二人三脚でやってきてたんだねぇ。私たち」

 夫は少し驚いた顔をして、何も言わずに娘の頭をなでた。

 翌朝、スマホを触りながら、「また朝食作りか……」とウンザリしていると、いつもより早く起きてきた夫が「今日は俺が作るよ。何がいい?」と言ってきた。

 なんと!! 思わず「ひゃっほー!」って小躍りしちゃうくらい、めちゃくちゃうれしい。

 だけど、出勤前の夫にそんなことをさせるわけにはいかないよなぁと思い直し、「ありがとう。だけど、仕事前だし、大丈夫」と断った。

 いつもなら、「あっ、そ」と言って、スマホをいじりだしそうなものだが、この日の彼は違った。「俺が作る!」と、私を押しのけて朝食を作り始めたのだ。

 私は空いた時間で、洗濯物を干すことにした。

 食卓に並んだのは、みそ汁とだし巻き卵とご飯と納豆。夫(いわ)く「とりあえず、寒いからあったかいものを作った」らしい。見た目はともかく、味は結構イケた。

 ただ、やっぱり洗濯かごに入れられた靴下やワイシャツは裏返しのまま。トイレに入ったら、トイレットペーパーの芯だけ残されている。だめ押しに、洗面台には歯ブラシが置きっぱなしにされていた。

 う~ん。でも、まぁ、許す! 朝食で釣られたわけじゃないけど、何かをしようと思ってくれたことは、やっぱりうれしいのだ。

 世の中の当たり前からすれば、私も夫もちゃんとした妻であり、夫であるとはきっと言えない。だけど、そうでなければ、楽しい家庭を築けない、というわけでもないはずだ。

 だらしなくても、そこそこ二人三脚。とりあえず我が家はそこから始められたらと思っている。

筆者(アッコさん)プロフィル
 1993年生まれの27歳。中部地方出身。中学時代は「学校がつまらない」と授業をサボり、成績はオール1。その後、私立の専修学校に進学するも不真面目な素行に加え、成績もふるわず、ヤンキーへの道一直線。卒業後、一度は医療事務の仕事に就いたが、遊びたい気持ちを抑えられず退職。職を転々としていたところ、会社勤めをする夫と出会う。都内で夫と2歳の長女と3人暮らし。

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November 26, 2020 at 08:13AM
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