約1カ月にわたる熱戦の末、FIFAワールドカップカタール2022決勝の舞台に上り詰めたのは、FIFAランキング3位のアルゼンチンと同4位のフランス。今大会は序盤から番狂わせが多発したが、決勝はともに2度の優勝経験をもつ強豪国同士の対戦となった。前回王者フランスは1962年のブラジル以来3カ国目の連覇にも期待がかかる。
アルゼンチンは準決勝までの出場6試合で5得点3アシストの主将FWリオネル・メッシが、1986年のメキシコ大会優勝時のディエゴ・マラドーナを彷彿とさせる活躍で母国を牽引。一方、フランスは前回大会で19歳ながら4得点を挙げたFWキリアン・ムバッペが今大会でも5得点2アシスト。絶対的エースに成長した23歳が、35歳となったメッシと並んで得点ランクトップに立っている。得点王も争う両エースに注目が集まる中、彼らに並ぶ存在として優勝の鍵を握るのが4得点を挙げているフランスのFWオリヴィエ・ジルーだろう。
◆フランス、過去7大会で4度目の決勝進出 ジダン擁した1998年と前回ロシア大会で優勝
■前回大会無得点も優勝に貢献
ジルーは192cmの長身を活かしたポストプレーで、多士済々な2列目の選手の得点力を最大限引き出す。前回大会でも1トップの主軸を担い、ムバッペとアントワーヌ・グリーズマンが4得点ずつを挙げる活躍をサポートし、母国の2度目の優勝に貢献した。ポストプレーにおいては世界ナンバーワンとも称される名手だが、ジルー本人は全7試合に出場しながら無得点に終わった。
36歳で迎えた今大会は準々決勝のイングランド戦で決勝点を挙げるなど4得点。最前線で攻撃の起点となり、大会最多13得点を記録する前回王者に必要不可欠な存在だ。
ジルーが決勝のアルゼンチン戦で勝敗の鍵を握る理由は、その高さにある。先発が予想される相手のフィールド選手で身長185cmを越えるのがDFクリスティアン・ロメロ(185cm)のみであることだ。スピードやテクニックはその日の調子や相手の戦略によって持ち味が出せない場合もあるが、調子が悪くても身長が10cm低くなることはない。後方からのロングボールを最前線のジルーが収め、容易にボールをキープする姿が想像できる。ジルーの高さは攻守両面のセットプレーで効果的だ。
ジルーが主要国際大会で初めて主力としてプレーしたのは、2016年に母国で開催された欧州選手権「EURO」。2010年の南アフリカW杯ではグループステージ敗退、EURO2012と2014年のブラジルW杯でもベスト8に終わっていた「レ・ブルー」は、ジルーの3得点などで準優勝。このEUROは、2年後のロシアW杯で世界制覇を成し遂げる序章だった。
■25歳まで下積みが続いたジルー
ロシアW杯以降、代表から長らく離れていたレアル・マドリードのFWカリム・ベンゼマが代表復帰。ジルーは2021年に開催されたEUROで途中出場2試合に終わった。ただしこの時、チームはベスト16で敗退している。
ベンゼマは34歳となった今年、バロンドールを初受賞。今大会でもフランスの絶対的エースとして出場予定だったが、大会直前の負傷で欠場が決定。ジルーが先発に返り咲いた格好だ。
センターフォワードを「9」、トップ下を「10」とするポジション表記において、ジルーを典型的な「9」とする一方、ベンゼマはしばしば「9.5」と表現される。最前線で司令塔の役目を担って得点もアシストも量産する超万能型FWベンゼマのプレースタイルを端的に示している。
ただし、フランスの黄金期の始まりとなったEURO2016以降の司令塔はMFアントワーヌ・グリーズマンだ。173cmの彼は身長差20cmのジルーと阿吽の呼吸が冴え渡る。ベンゼマは1人2役分をこなせる能力があるが、フランスは2人のコンビで3回目の主要国際大会決勝進出を果たしている。彼らには.「1+1が2以上になる」化学反応がある。
ジルーは23歳までフランス2部リーグでプレーしていた苦労人。モンペリエで得点王に輝くなどの活躍が評価されイングランドの名門アーセナルに加入したのが25歳だった。下積み時代が長く続いたが、そのぶん守備でも泥臭く戦えるチームプレーヤーとして、クラブでも代表でも息の長い活躍が続く。
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