
定着率が高い自治体を参考にしたい。宮城県東松島市では任務終了後の定着率が94%。地域での交流と仕事づくりが鍵で、元隊員の助言で農林漁業などの仕事に従事する。このノウハウを生かそう。
東松島市での高い定着率の背景には、元協力隊員が務めるコーディネーターの存在が大きい。隊員の採用時からコーディネーターがオンライン面談に参加。「地域の人たちと交流できるかがポイント」などと助言、農村暮らしに欠かせない点を伝授する。
鍵は、ネットワークづくりにある。同市ではコーディネーターを通して協力隊OB、OGを紹介し、相談に乗る体制をつくることで、任期後もスムーズに農業や林業、漁業などの仕事に就き、地域に定着している。こうした事例を全国に広げたい。
地域おこし協力隊の制度は2009年度から始まり、都市部の人材を農村の新たな担い手として受け入れ、地域力の充実・強化につなげるのが狙い。総務省によると、任期を終えた隊員は全国で9656人(22年3月末)。その若い感性を、地域づくりにどう生かすかが問われている。
ただ、定着率が9割を超える自治体がある一方で、全国平均は65・4%(22年、総務省調べ)。割合は年々、増えてはいるが、3割以上の隊員が地域を去っている。
気になるデータがある。移住・交流推進機構の22年度調査によると、隊員が任期終了後に定住しない理由の最多は「もともと定着する予定がなかった」(24%)だった。隊員経験者らと交流する機会があれば、この結果は変わったかもしれない。次いで「地域で仕事を見つけるのが難しいから」(23%)が続いた。定着につなげるには隊員の孤立を防ぎ、交流を通じた仕事づくりが重要となる。
滋賀県では、元隊員によるネットワークをつくる動きが出てきた。発起人の藤田彩夏さん(35)は東近江市の元隊員。現在は、同市内で若者のシェアハウスなどを営む。仕事を見つけられず地域を去っていく隊員を見てきただけに、ネットワーク組織を立ち上げることで「任期を終えた隊員の不安を少しでも払拭したい」と展望する。
県域のネットワーク組織があるのは18道県(22年度)。元隊員の悩みや相談に乗れる支援体制の構築が急がれる。
協力隊員は、都会から来た“お客さん”ではなく、地域を変える頼もしい一員として温かく受け入れたい。本当のスタートは、着任後ではなく任期後だ。県域のネットワークと、仕事づくりのサポートが欠かせない。
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