Search

コラム後半戦の日本株鍵は海外勢 弱い中国経済と円安けん制が追い風 - ロイター (Reuters Japan)

[東京 6日 ロイター] - 足元では調整色を強めているが、今年前半にバブル後最高値を連日更新した日経平均が後半に一段と強含むかどうかの鍵を握っているのは海外勢だ。一部では中国経済の減速がしばらく続くなら、日本株に資金をシフトさせようとの動きが出ている。円安が進むとドル建て換算で損失が出てしまうが、通貨当局のけん制発言で円が急落する可能性は下がってきているようにもみえ、筆者は日経平均の上値が伸びる可能性が出てきたのではないかと考える。

 足元では調整色を強めているが、今年前半にバブル後最高値を連日更新した日経平均が後半に一段と強含むかどうかの鍵を握っているのは海外勢だ。写真は東京証券取引所で2016年2月撮影(2023年 ロイター/Issei Kato)

<絶好調だった今年前半>

今年前半の日経平均は、米株の主要3指数を上回る上昇率を達成した。1月4日の安値2万5661円89銭から6月19日高値3万3772円89銭まで8111円(31.6%)上げて33年ぶりの高値水準を回復した。

この要因として、1)新総裁のもとでも日銀が超緩和政策を継続したこと、2)米著名投資家のウォーレン・バフェット氏が日本の商社株買い増したり、日本株への投資意向を表明したこと、3)日本の賃上げ率が拡大したこと、4)デフレ基調からインフレ基調への転換がみられること、5)自社株買いが活発化したこと──などが挙げられる。

<中国減速と日本への影響>

こうした点にいち早く注目したのは、国内勢ではなく海外勢だった。財務省の対内対外証券投資によると、今年5月に海外勢は日本株を2兆7447億円買い越していた。6月18日から7月1日までの直近2週間では3474億円の売り越しとなっており、6月20日以降の日経平均の調整地合いと「表裏一体」の動きを見せている。

足元の日本株は、中国が3日にガリウムとゲルマニウム関連製品の輸出管理を強化すると発表したことを材料に売りが優勢になっている。6日の東京市場で日経平均は前日比500円を超える下げとなり、一部では世界経済の先行く不透明感を材料に、日本株も調整色が強まるのではないかとの見方も出ている。

ただ、中国経済の減速が当初の見込みよりも長引きそうな様相を強めていることに注目した一部の海外勢が、中国株から日本株へのシフトを目論んでいることに筆者は注目したい。

財新/S&Pグローバルが今月3日に発表した6月中国製造業購買担当者景気指数(PMI)は50.5と、5月の50.9から低下。製造業よりも好調とみられていたサービス(5日発表)でも6月は53.9と、5月の57.1から低下した。

また、5月生産者物価指数(PPI)は前年比4.6%下落し、ロイター調査の予想(4.3%下落)を上回る落ち込みになった。下落は8カ月連続。5月CPIも前年比0.2%上昇と伸びが低迷しており、中国経済は「息切れ」を起こしている。

今年5─6月もこの傾向はみられ、その時は主に欧州勢が中国株売り・日本株買いの取引を活発化させていたようだ。

今後、米国勢やアジア勢の一部が欧州勢に代わって中国株売り・日本株買いのトレードを増やす可能性があると複数の外資系証券関係者が述べており、筆者は海外勢の日本株買いが再び増加して、日本株の上値が伸びると予想している。

<円安けん制発言の間接的効果>

ただ、新規に日本株買いを増やす場合、問題になるのは足元で起きている円安の加速の動きだ。ドル/円が短期間に150円台に乗せると、ドル換算で損失が出ることになる。

ところが、日本の財務省が6月末から円安けん制発言を繰り返し、7月に入ると「過度な動きがあれば適切に対応」「米国含め様々な意思疎通を行っている」と、一段とけん制色を強めてきた。このため、ドル/円は上値が重くなり、ただちに150円を目指す動きは難しくなってきている。

このことは、新規に日本株買いを目指す海外勢にとっては、望外の追い風と映っているに違いない。

以上のように、中国経済の足踏みと日本当局の円安けん制が当面継続することになれば、海外勢の日本株買いが拡大し、それを原動力として日経平均の上値が切り上がる展開が予想される。

<日本株高、リスクは米失速>

ただ、通貨当局のけん制が効きすぎて為替が円高方向の動きに転じると、国内勢の日本株売りが優勢になるシナリオも残されている。

また、米連邦準備理事会(FRB)の幹部は先行きに楽観的な見方を示しているものの、6月の米製造業景気指数は46.0と、前月の46.9から悪化し、2020年5月以来の水準に落ち込んだ。もし、米当局の想定よりも早く米経済の後退が鮮明になれば、最高値更新を前に日経平均は下落基調に戻ることも予想される。

とはいえ、現在の内外環境を総合すれば、日本株の上値余地は相応に残されているのではないか。もし、この見通しに大きな変化が生じるとすれば、それは日銀が超緩和策の大枠を変える決断を下す時だろう。

*このドキュメントにおけるニュース、取引価格、データ及びその他の情報などのコンテンツはあくまでも利用者の個人使用のみのためにロイターのコラムニストによって提供されているものであって、商用目的のために提供されているものではありません。このドキュメントの当コンテンツは、投資活動を勧誘又は誘引するものではなく、また当コンテンツを取引又は売買を行う際の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。当コンテンツは投資助言となる投資、税金、法律等のいかなる助言も提供せず、また、特定の金融の個別銘柄、金融投資あるいは金融商品に関するいかなる勧告もしません。このドキュメントの使用は、資格のある投資専門家の投資助言に取って代わるものではありません。ロイターはコンテンツの信頼性を確保するよう合理的な努力をしていますが、コラムニストによって提供されたいかなる見解又は意見は当該コラムニスト自身の見解や分析であって、ロイターの見解、分析ではありません。

Adblock test (Why?)



from "鍵" - Google ニュース https://ift.tt/1dA7F6u
via IFTTT

Bagikan Berita Ini

0 Response to "コラム後半戦の日本株鍵は海外勢 弱い中国経済と円安けん制が追い風 - ロイター (Reuters Japan)"

Post a Comment

Powered by Blogger.