米国家安全保障会議(NSC)のカービー戦略広報調整官は、イスラム組織ハマスに捕らえられた米国人の解放を目指し米国が最大限の努力をしているとテレビ番組で述べたが、米国の代わりに誰が交渉の先頭に立っているかは言及しなかった。それは中東の小国カタールだ。
コネティカット州ほどの大きさのカタールはかつて、米国と欧州連合(EU)がテロ組織と指定しているハマスのようなイスラム主義グループやイランと友好的な関係にあったため異端視されていた。しかしここにきて、そうした関係を利用し、慎重に扱うべき人質問題を巡る外交に多くの時間を割いている。
事情に詳しい複数の当局者が匿名で明らかにしたところによれば、カタールは、10月7日にイスラエルから連れ去られた約200人の解放を確実にすべくハマスと交渉を進めている。

カタールの首都ドーハ
Photographer: Christopher Pike/Bloomberg
同時にカタールは、イランやレバノンの親イラン民兵組織ヒズボラとも連絡を取り、ハマス・イスラエル戦争で 北方に第2の戦端が開かれるのを抑止しようとしている。ヒズボラはすでに、イスラエル北部の国境を越えて小規模な戦闘を試みている。
細心の注意を要するこうした交渉が続く中でカタールは、ロシアによる侵攻で家族と離れたウクライナの子ども4人の再会を仲介することに成功したことも明らかにした。
端的に言えば、カタールは地政学上のフィクサーとして不可欠の存在になっている。
米国はカタールなしでは湾岸地域で何もできないと内心では認めている。カタールは中東地域最大の米軍基地があると同時に、ハマスの政治指導者数人を受け入れている。
政治リスク専門コンサルティング会社ユーラシア・グループの中東・北アフリカ担当責任者アイハム・カメル氏は、「カタールは現在、人質問題で不可欠な外交ツールだ」と指摘。「この問題への対応に必要な深い関係を持つ当事国は他にほとんどない」と付け加えた。
カタール当局者によると、同国にハマスの政治拠点が2012年に開設されたのは、ハマスとのチャンネルを開くことを求める米国の要請を受けた措置だった。この拠点は、ハマスが実効支配するパレスチナ自治区ガザとイスラエルの情勢を安定させるため、米国の歴代政権が仲介活動に利用してきたという。
米国はまた、赤十字国際委員会を含む関係団体とも、人質の移動への関与について協議したが、まだ何も実行には移されていないと関係者は話した。
カタールが仲介に動いているとはいえ、人質の帰還は容易ではない。ガザ地区のどこに人質が拘束されているのかなども分かっていない。バイデン米大統領のイスラエル訪問を控え、米国とカタールはハマスによる人質解放に向け、単なる意思表示ではなく、具体策を進めるため24時間態勢で取り組んでいるという。
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原題: Fate of 200 Hostages Taken by Hamas Hinges on Qatar Channel (1)(抜粋)
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