お笑いコンビ「ココリコ」の遠藤章造さん(48)がYouTubeチャンネル「ココリコ遠藤のへんなカタチ」を3月28日から立ち上げました。「遠藤というおっさんがどんな人間なのか。それをお見せする場にしたい」と言葉に力を込めますが、その奥には「トップにはなれない」という自己分析、その上で目指すべき50代のカタチがありました。
娘ですら知らない
娘が高校2年になるんですけど、ものすごくYouTubeに詳しいんです。
いろいろと話を聞いたり、実際に動画を見せてもらったりしたら「これ、昔、パパらが深夜にテレビでやってたことやで」ということが多々ありまして。それに対して、娘も「え、そうなの!?」と驚いたりもしてまして。
僕の娘ですら知らないならば、僕のもともとの姿というか、いったい僕が何をやる人間で、どんなことをやってきたオッサンなのか。普通の若い子なんて、もっと知らないんだろうなと思ったんです。
「ヒルナンデス!」で飯食ってるオッサン。「ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!」でケツ叩かれるオッサン。そういう認識の若い子たちにも「いや、遠藤というオッサンは、こんなこともやってる気持ち悪い、変なオッサンやねんで」という“名刺”というか、本来の自分の姿をプレゼンしていく場としてYouTubeを考えたんです。
クセがありすぎる歌を歌ったり、ゴルフをテーマに対決したり、コントをしたり。阪神タイガース、野球も大好きなので、そこも題材にしながら「ココリコ」遠藤の説明プラス、笑ってもらえるものにしていけたらなと。
目指すべき50代のカタチ
YouTubeとの向き合い方を考える中で、自分の立ち位置みたいなものも今一度確認することにもなりました。
YouTubeでは「タレントは素の部分を見せた方がいい」と聞いたりもするんですけど、例えば、川口春奈ちゃんが「実家帰りました!」とかやったら、そら見たいですけど、オレはタレントとしてそんなタイプじゃないなと。
矢沢永吉さんなら、普通にご飯を食べているところだけでもみんなが見ると思いますけど、自分にはそんなパワーはない。これまでのやり方として、なんなら全てをさらけ出して、既にかなり身を削ってやってきたところもありますし。
あと、年齢というのも意識しなおしましたね。今年で49歳。もう50歳も間近になってきました。この世界で30年ほどやってきて、もう一回自分を知ってもらうためにはどうしたらいいのか。50代に入っていく中で、自分はどうするべきなのか。その中で、僕の根っこみたいなところも考えました。
そこを考えると、いろいろな先輩に影響を受けてきたんですよ。もちろん、たくさんおられるんですけど、間違いなく「ダウンタウン」さんのカタチというのも自分に色濃く入っているなと。
あのお二人を見ていると、まだ売れようとしてるんです。芸人、タレントとしたら、もう完全に“アガリ”やのに「まだテレビに出たい」というパワーがあるんです。
例えば「ガキ-」の打ち合わせの時も、作家さんが考えてこられたネタを松本(人志)さんが目を通されるんです。僕からしたら面白いと思うネタがいろいろあるんですけど、ネタをパタッと置かれて、そこからまたゼロから考え始めるんです。選択肢として「ま、これでいいか…」がないというか。
あと「ガキ-」の企画でがお店のメニューを出演者5人で食べ尽くすみたいな企画があるんですけど、僕も30年近くやってきて“テレビ病”じゃないですけど、勝手に自分の中で尺を考えるところがあるんです。
「もうだいぶ撮れてるよな。まだあと何軒か用意していただいてるけど、もう時間もないし、この一軒が最後かな」みたいなことをいつの間にか計算するんです。でも、松本さんは本気で残りのお店全部まわるつもりなんです。「もう腹いっぱいやけど、最後の一切れ、オレ、いくわ」と口に入れて「次行こか」と。「行くんや」と(笑)。
浜田(雅功)さんの番組に呼んでいただいた時も、それもたまたま食べる企画やったんですけど、またオレが尺を考えて「もうこれくらいで十分かな」と思って横を見たら、浜田さんが口パンパンにして、目を真っ赤にしながら、キャベツをかき込んでるんです(笑)。
お二人がそれやったら、オレはその何倍頑張らなアカンねんという。でも、僕からするとその姿はカッコいいと思いますし、僕も、もっと、もっと売れたいと思います。
かたや「とんねるず」の(木梨)憲武さんとお話をさせていただくと、こちらはとにかく楽しむ。縁とタイミングを大切にして、出会った人たちととことん楽しくやる。そういった力の抜けた感覚がすごくエエなぁと。こんな人生もいいよなぁと思います。
縁があって、それぞれ吸収させていただく幸運をいただけた。だったら、これはすごく難しいかもしれませんけど、そういったものを融合させたような50歳になっていきたいなと思います。
…そういうことを考える歳になって、また改めて突き刺さるというか、昔、若い時にタモリさんのおうちに呼んでいただいたことがあったんです。6時間くらい話をさせてもらう中で、珍しく「この先のこと、何か考えてる?」とそんな話になりまして。
まだ若かったし「いやぁ…何も」みたいに答えたんですけど、そこでタモリさんが言ってくださったんです。
「それでいいんだよ。自分をはめこんでいくんじゃなくて、そこは変えていった方がいいから。その都度、その時に沿った自分を選んでいった方が良いと思うよ」
その時点で僕の性質を見抜いてらっしゃたのか、今になって、その言葉がより深みを増しますし、より強く自分の中に染みわたります。
僕のカタチとしては、トップにはなれない。そういうタイプではないのは自分がよく分かっています。いろいろな先輩方のカタチを吸収して、自分なりのカタチを持った50代になっていきたいなと思っています。
あと、今回のYouTubeチャンネルのタイトルも「ココリコ遠藤のへんなカタチ」にしたんですけど、僕もまともな人間ぶってるだけで、明らかに変な人間ですから(笑)。
さっきからやたらと“カタチ”という言葉を使ってますけど、このカタチという言葉がね、本当に好きで、好きで。口癖としてあらゆるところで出してしまうんですよね。
世の中、結局、全てカタチでできてますし、カタチから入るし、カタチにこだわるし…みたいな感じで、とにかくカタチって言いたくなるし、一回言い出したら、カタチが止まらなくなるんです。なんなら、若い子らが意識的にこのカタチという言葉を使って、流行らせてくれへんかなとも思ってます。そういうカタチも見てみたいですし。
最後にグイっと入り組んだ世界に引き込んでしまいましたけど(笑)、まさにこれこそがというか、僕自身がすごく“へんなカタチ”なんです。そのカタチにお付き合い願えましたら、僕としては本当に嬉しいカタチです(笑)。
(撮影・中西正男)
■遠藤章造(えんどう・しょうぞう)
1971年7月13日生まれ。大阪府出身。吉本興業所属。小中学校の同級生だった田中直樹とお笑いコンビ「ココリコボンバーズ」を結成、東京吉本のオーディションに合格する。その後「極楽とんぼ」の加藤浩次の勧めで「ココリコ」に改名。日本テレビ系「ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!」、テレビ朝日系「いきなり!黄金伝説。」などで全国区の人気を得る。タレント・千秋と2002年に結婚。女児を授かるが、07年に離婚する。15年に一般女性との再婚を発表した。今年3月28日からYouTubeチャンネル「ココリコ遠藤のへんなカタチ」を開設した。
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March 29, 2020 at 09:32AM
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