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鍵は自動化にあり 改良を業務に組み込む - ITpro

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本番導入後もモデルを改良していくには運用保守プロセスの変革が不可欠だ。エンジニアの負担軽減なくして、改良の継続は不可能である。鍵となる「自動化」と「業務への組み込み」について解説する。

 MLモデルを本番運用しながら改良していくうえでは、エンジニアや業務担当者など関係者の負担軽減が重要になる。改良の負担が重ければ継続は難しい。改良頻度が低下して精度の悪化につながれば、業務で使われなくなりモデルの改良は一層難しくなる。

 そのためMLOpsを実践するには、関係者の負担を軽減する工夫が不可欠だ。MLOpsを実践する企業や有識者への取材を通じて浮かび上がったポイントは4つある。「パイプラインで自動化する」「本番環境にもパイプラインを設ける」「精度監視を自動化する」「業務に組み込む」だ。順に解説する。

パイプラインで自動化する

 モデルの改良において自動化の対象となるプロセスとしては、データストアから抽出したデータのフォーマットやサイズを整えるなどして学習データをつくる前処理、モデルの再トレーニング、推論精度の評価、切り替えテストなどがある。

図 モデルの改良プロセスと自動化のポイント

図 モデルの改良プロセスと自動化のポイント

パイプラインで自動化

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 MLOpsではパイプラインを設けて、この一連のプロセスを自動化する。パイプラインのツールは幾つも登場しているが、特にクラウドサービスで機能強化が顕著だ。米グーグルが提供するMLモデルの開発支援統合プラットフォーム「Vertex AI」を例に説明する。

 Vertex AIはパイプライン管理機能の「Vertex AI Pipelines」のほか、学習データ管理機能、トレーニング機能などを備えている。エンジニアはAI Pipelinesを使って、データの前処理やトレーニング、推論、評価などを実行するソースコードを記述することにより、それらのプロセスを一連の流れとして定義し自動実行できる。

本番環境にもパイプラインを設ける

 パイプラインは開発環境としてだけでなく、本番環境(運用保守用)にも別途設けることが重要だ。従来の一般的なシステム開発では、開発環境にのみ「CI(継続的インテグレーション)/CD(継続的デリバリー)」のツールや機能を組み込むケースが多かった。CI/CDで、ビルドやテスト、配置などを自動化するというものだ。

 これに対してMLOpsでは本番環境にもパイプラインを設けて、再トレーニングのような比較的軽微な改良を高頻度で行いやすくする。これは特に、開発担当と運用保守担当でチームを分けていて、それぞれが扱う環境を線引きしているケースで効果を発揮する。比較的軽微な改良であれば、運用保守担当が開発担当に依頼することなく、本番環境で行えるからだ。

 本番環境にパイプラインを設ける利点はそれだけではない。コンテナを併用することで、開発環境で改良したモデルの本番移行が円滑になる。

 それにはPart2で取り上げたヤマト運輸のように、パイプラインをコンテナイメージとして管理する。具体的には開発環境でモデルの改良を終えたら、そのパイプラインをコンテナイメージとして保存し、それを使って本番環境のパイプラインを再構築すればよい。これによって、改良したモデルを本番環境に配置できる。

 開発環境のパイプラインを丸ごと本番移行することになるので、環境の差異によるトラブルを回避しやすい。加えて本番移行後に問題が生じたときの切り戻しも、元の本番環境のコンテナイメージを使うことによって容易に行える。

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