Box Japanの年次イベントである「BoxWorks Digital Tokyo 2023」が、2023年7月13日、14日の2日間、オンラインで開催されている。
9年目となる今年のイベントでは、「企業のDX、現在から未来へ」をテーマに、Boxが推進する「コンテンツクラウド」への取り組みやBoxのビジョン、新たに発表されたBox AIをはじめとした新機能を紹介。さらに、DX人材やセキュリティ、PPAP、中小企業のDXなどの観点から、具体的な取り組み事例や成功事例などを紹介した。
同社によると、全世界で11万5000社以上がBoxを利用。日本では1万5000社以上が採用し、日経225の69%の企業が導入しているという。日本ではキヤノンがBoxを活用し、コンテンツに関するワークフローとビジネスプロセスをセキュアに管理、共有、推進している事例も紹介した。なお、Box Japanは、2023年8月に10周年を迎えることになる。
オープニングキーノートで、Box Japanの古市克典社長は、「これまでのIT化は、デジタル技術によって、業務を効率化することを目指した取り組みであったが、DXはデジタル技術がリアルな現場に浸透し、異なるコンテンツやプロセスを結合し、新たな価値が生み出すという点が異なる。DXはイノベーションを生み出す舞台装置のようなものであり、技術ではなく、活用と方法が重要である。DXのD(デジタル)ではなく、X(トランスフォーメーション)が鍵になる。D(デジタル)人材は外注すればいいが、X(トランスフォーメーション)人材は社内でしっかりと育成していかなくてはならない。そして、DXは、Corporate X(企業)、Company X(仲間)、Customer X(顧客)の3つのCXによる変革が、新たな価値を創造することがポイントとなる。これを実現する上で、Boxは最適なツールになる」とした。
また、非構造化データはデータ全体の80%を占めているものの、保管方法は約30年間に渡って進化していないことを指摘。「いまこそ、非構造データの保管庫の進化が必要であり、Boxであれば、全社ファイル管理基盤として、組織の壁を越え、コンテンツを一元管理し、コンテンツやプロセスの新たな結合を実現することができる。さらに、関連会社や取引先と知の共有ができ、SaaSとの連携も容易であり、どこからも利用でき、現場に浸透しやすいという特徴を持つ。また、生成AIを活用することで、人の認知能力の限界を超えて、全社規模で知の活用が可能になる」とした。
さらに、Boxではセキュリティと生産性向上を目的とした新機能を追加したり、進化させたりしていることを強調。「相反する2つの要素を同時に進化させており、二兎(にと)を追うことができるのがBoxの強みである」などと述べた。
一方、Box, Inc.共同創業者兼CEOのアーロン・レヴィ氏は、「Boxのミッションは、すべての人々の働き方を変革することである。このミッションは、これまで以上に重要な意味を持ってきた。私たちの働き方は、これまでにないほど変化しており、もはや仕事のすべてが変化しているといってもいい。そして、ビジネスとテクノロジーの史上最大の変革期の真っただ中にある」と切り出す。
米国企業の74%が恒久的にハイブリッドワークを導入し、多くの企業が分散型の働き方を採用していることなどを示しながら、「日本を訪れて主要なCIOと話をした際に、多くの企業がハイブリッドワーク戦略を続けていると聞いた。ビジネス全体の生産性を向上させること、ITをシンプル化して投資対効果を最大にすること、組織内の重要なデータを保護することにフォーカスすることが、変化する働き方に対応する唯一の方法である。そして、これらの中心にあるのはコンテンツの課題である。営業資料、マーケティング資産、財務文書、人事関連書類、サプライチェーン情報などのコンテンツは、顧客の最重要データであり、コンテンツの上でビジネスが稼働している」と話す。
そして、「だが問題は、コンテンツがさまざまなテクノロジーによって断片化され、分散していることである。文書管理システムやストレージサービス、電子署名、コラボレーションツールなどのアプリケーションごとにファイルが分散している。これはデータセキュリティにおいても大きな問題を抱えていることになる。コンテンツが断片化していると、それを保護することは非常に困難である。また、企業の生産性とワークフローにも影響を及ぼす。さらに、情報を管理するために余分なテクノロジー投資を行い、複雑性も増すことになる。コンテンツを管理するための新たな仕組みが必要とされており、そこにBoxが果たす役割がある。それがコンテンツクラウドである」と述べた。
また、Boxがコンテンツジャーニー全体を管理するための、セキュアな統合プラットフォームであることを強調。クラウドにデータを取り込む瞬間から、その情報を保護、分類し、コンテンツをベースにしたコラボレーションを可能にすることや、ワークフローの自動化、電子書名の取得、コンテンツを共有するとともに、コンテンツに何が起こっているかを理解するための分析とインサイトの取得、ライフサイクル全体に渡る保持を可能にできるという。また、「Boxの機能とコンテンツはさまざまなサードパーティアプリにも拡張できる。アプリケーションに統合されたワークフロー全体で、コンテンツのライフサイクル全体を支援できるセキュアなコンテンツクラウドを実現することができる」と述べた。
このほか、90%の企業がAIと自動化が生産性向上を支えると考えていることや、データからさらなる価値を引き出し、生産性を高める上で、AIへの期待が高いことなどを示しながら、昨今の生成AIの広がりと、同社が新たな発表したBox AIについて触れた。
レヴィCEOは、「私たちは、画期的なテクノロジーによる新たな波の出発点に立っている。生活のあらゆる部分に、インテリジェンスをもたらすAIを活用する時代に入っている。全従業員が瞬時にMBAを取得したり、専門性を持ったエンジニアがアシスタントになったりして、1000倍の速度で仕事ができたらどうか。そうした時代がやってきている。AIによって、大幅な生産性の向上をもたらし、組織全体のビジネスリスクを減らすことができる」と説明。
さらに、「AIが最もパワーを発揮できるのは先進的なAIモデルが、企業のコンテンツと結びついた時である。それは、コンテンツが、ビジネスにおいて最も重要なデータであるからだ。Box AIでは、コンテンツのパワーをAIで解き放つことができる」と述べた。
Box AIでは、2つのブレイクスルーがあるという。
ひとつめは、コンテンツに質問を投げかけて、情報からビジネスインサイトを導き出す機能だ。契約書を見て、より詳細な情報が欲しい場合や、重要な条項を尋ねたり、製品リリース日を製品ドキュメントに質問したりできる。また、人事情報を見て、重要な質問を行い、その情報を即座に全従業員が共有することができるという。
もうひとつは、新たなコンテンツを数秒で作成することができる機能だ。Box Noteを活用して、新たなミーティングのアジェンダやメモの作成、ブログ投稿のための記事も作成できる。
「Box AIのパワーは、Boxのほぼすべてに適用することができており、コンテンツとの付き合い方を一変させることになる。AIをコンテンツクラウドに適用することにより、コンテンツジャーニー全体を管理するためのセキュアでインテリジェントなプラットフォームを手にできる。だが、これはまだ始まりにすぎない。AI革命の初期段階である。私たちは、AIがすべての仕事に組み込まれ、より賢く、より迅速に働き、最終的に生産性が加速する未来を想定している」などとした。
Box AIは、現在、特定ユーザーを対象に提供している段階であり、今後数四半期の間に、全世界において一般提供を開始する予定だ。まずは、Open AIを活用するが、GoogleやAWSのAIも活用し、それぞれのAIの特徴や強みを生かしながら、あらゆるコンテンツに対応することになるという。
なおBoxでは現在、リアルタイムに複数の人とのコラボレーションを行うBox Notes、コンテンツを中心としたビジネスプロセスの自動化を実現するBox Relay、電子サインソリューションであるBox Sign、マルウェアなどの脅威からコンテンツを守るBox Shield、コンテンツに対するガバナンスを実現するBox Governance、コンテンツのBoxへの移行を促進するBox Shuttle、コンテンツの回復力の課題を解決するBox Zones、コンテンツに関するインサイト情報を可視化するBox Insights、ほかのアプリケーションサービスや社内システムとの連携を実現するBox Platform、2023年5月に発表した、仮想ホワイトボードを実装し、コラボレーションを促進するBox Canvas、デスクトップとBoxとの親和性を高めるBox Driveなどをラインアップしている。
Box Japan プロダクト&プロダクトサービス部シニアディレクターの坂本真吾氏は、「今後、公開の機能を持ったサービスの提供を計画している。コンテンツのライフサイクル全般に深く関わることができる機能を拡張していく」と述べた。
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