中朝を結ぶ新鴨緑江大橋開通に向け
北朝鮮が工事を再開
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無期限開通延期となっている新鴨緑江大橋 Photo by San Miguel Chikuzen |
無期限の開通延期となっていた新鴨緑江大橋が、開通へ向けて動き出したことが分かった。
この橋は、北朝鮮と中国の丹東市を結ぶ道路専用橋として建設され、橋自体はすでに2014年に完成している。中朝貿易の最大都市である丹東で現在、使用される中朝友誼橋(旧鴨緑江第二橋梁)が建設から77年たち、老朽化していることから建設が始まった。次世代の中朝貿易の大動脈と期待されていたが、2013年12月、金正恩委員長の義理の叔父である張成沢氏の粛清により中朝関係が悪化した影響を受けて、北朝鮮側の道路や入管・税関施設の建設が止まり、放置されていた。
張成沢氏が粛清された理由の1つに中国利権が挙げられており、新鴨緑江大橋や北朝鮮北部の羅先特別市の羅津港を中国へ借款する契約を結んだことなどで、金正恩委員長の怒りを買ったとされる。
開通時期は来年夏を予定
中国が建設支援
今月中旬に、丹東を訪れた瀋陽の中堅不動産業経営者と面会した丹東の北朝鮮領事館関係者が、新大橋は来年夏に開通すると伝えたとのことだ。現時点では中国側から正式発表はないものの、北朝鮮ニュースメディア「NKニュース」が北朝鮮側で道路敷設工事が始まっている写真を掲載して造成開始を報じている。
当初は、新大橋を降りた北朝鮮側の道路や各施設は北朝鮮負担で建設する取り決めになっていたが、北朝鮮側が中国へ建設支援を求めたとされ、中国の建設企業が未開通の橋を渡り工事を進めている。
新鴨緑江大橋は、全長3030メートル、2車線の自動車専用のつり橋だ。周辺に遮るものがないので、橋は存在感があり大きく見える。丹東側には、貿易会社が入居する国門ビルや巨大展示場などが造られている。さらに、新大橋自体が、大連と丹東を結ぶ丹大高速道路と連結されており、直接物資などを運び入れることができる。
大橋開通をめぐり
中国・丹東で起きた異変
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高速鉄道が乗り入れる丹東駅 (旅行者より写真提供) |
実は、この新鴨緑江大橋の開通延期には丹東側も業を煮やしていたようである。なぜなら、丹東市は、この新大橋を中心とした新しい街づくりを構想し、すでに丹東市政府(市役所相当)などの主要行政施設を移設していたからだ。
近年、中国では都市化緩和と持続的な都市発展を目的に、市街地から行政機能を分離させる政策を各地で推進している。これを受けて、丹東も行政機能を丹東駅南15キロメートルほどのエリアを丹東新区として移管させている。その中心的な存在が新鴨緑江大橋だったのだ。未開通のままでは、丹東市の描いた青写真がガラガラと崩れ去ることになる。
さらに、新鴨緑江大橋開通で地価上昇を見込んで建設された高層マンション群も無期限開通延期で軒並み暴落、マンション建設を手掛けたデベロッパーの中には倒産した会社も出ている。
その結果、新大橋周辺の高層マンションは完成するもほとんど人が住んでいないゴーストタウン(中国語で「鬼城」)化していた。だが現在、新大橋の来夏開通の話を受けて、新型コロナウイルス禍にもかかわらず再びマンション価格が上昇し始め、売り込み営業の連絡が入るようになっている。
これらのマンションは、北朝鮮を望む眺望を売りにしていたので、肝心の新大橋が開通しなければ価値は半減するのも当然かもしれない。また、現時点では、対岸の北朝鮮側はアシが生い茂るだけで何もないが、新大橋開通で多少なりとも発展して見応えある眺望となることを前提としている。
丹東は地政学的に、北朝鮮との貿易や観光業などに携わる漢民族や満州族が多く住んでいる。新鴨緑江大橋の開通延期は、丹東のここ数年の経済不況の要因になるなど、丹東と北朝鮮は政治経済的にも一蓮托生状態にあるのだ。
大橋開通と共に北朝鮮が進めたい
カジノタウン構想
新鴨緑江大橋が再び開通へ向けて動き出したことで気になるのは、北朝鮮の新義州で計画されているカジノタウン構想だ。
北朝鮮は、新義州をマカオやラスベガスのようなカジノタウンにする構想を進めている。ターゲット顧客は中国人富裕層で、マイカーで新鴨緑江大橋を通って直接乗り入れて、カジノを中心としたIRで人民元を落としてもらうことを想定している。ホテルも建設されており、日帰りだけでなく、1泊してカジノ三昧できると中国側で投資を募っていた。
この10年、北朝鮮は中国人に向けて工場や元山葛麻(ウォンサンカルマ)、三池淵(サムジヨン)といったリゾートなどへの投資を募ってきたが、朝鮮族以外からの投資は少なかった。リターンが見込めないと考えたからだろう。ところが、今回の新義州カジノタウン計画への投資は、漢民族など朝鮮族以外からの投資が圧倒的らしい。それだけうまみがあると考えられる投資と踏んでいることをにおわせる。
中国が新義州カジノタウン構想に
賛成する理由
中国では法律で賭博行為を禁止している。賭博厳禁の建前上、国内で中国人向けのカジノを造るのは難しいのだ。北京からカジノに行く場合は、直行便がある韓国ソウルが近場となるが、中国人は韓国に入国するためにはビザが必要なので、やや面倒になる。さらに中国政府はTHAAD配備をめぐり韓国へ制裁を科しているため、メンツ的にあまり推奨できない。
もし、丹東対岸の新義州にカジノを造れば、国民がカジノへマイカーで行けたり、今は1日数本しかない北京や上海との丹東国内線が増えたり、自家用ジェット利用増加も予想され、丹東経済の起爆剤として大いに期待できるのだ。
しかも、中国人が新義州に行く場合は、ビザどころかパスポートさえもいらないのだ。国内旅行の延長のような感覚で行けるため、ハードルも低い。
外貨獲得手段を模索する北朝鮮政府と中国人のガス抜き、国内での建前とメンツを守りたい中国政府、経済活性化や新区計画を成功させたい丹東市の三者の利益が合致する三者三様の思惑が、新鴨緑江大橋開通と新義州カジノタウン計画から浮かび上がってくる。
(筑前サンミゲル/5時から作家塾®)
※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら
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May 21, 2020 at 04:00AM
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