きょうのNY為替市場でドル円は買い戻しが強まり、ストップを巻き込んで104.85円付近まで買い戻された。本日の市場はリスク回避の雰囲気が強まり、株式市場も急落する中で、為替市場はリスク回避の円高が見られていた。ドル円は104円ちょうど付近まで下落していたが、特段の材料は見当たらなかったものの、104円の水準が堅かったことで、短期筋のショートカバーが一気に出たのかもしれない。ここ数日の下げで過熱感も出ていた。リスク回避のドル買い戻しがドル円をサポートしている。
米国で中西部の州を中心に再び感染者の拡大傾向が見られており、制限措置を再導入した州も出ている。再び都市封鎖が実施されるのではとの警戒感が高まる中、市場はリスク回避の雰囲気を強めた。11月の米大統領選が接近する中で不透明感が強く、追加経済対策も進展が見られていない。さらにFRBは低金利の長期化は強調しているものの、追加の緩和策については具体的に打ち出す気配を見せてない。ワクチン開発もなお不透明な中で、潜在化していた様々な問題に、市場は新ためて注視し始めているとの声も聞かれる。
ユーロドルは売り優勢の展開。一時1.1730ドル付近まで下落し、先週の安値に顔合わせしている。8月以降ユーロドルは買い戻しの流れを一服させているが、下押しする場面でも1.17ドル台は強いサポートとなっていた。きょうは21日線を下放れる展開が見られていたが、1.17ドル台をブレイクし、調整トレンドを強めるか警戒される動きが出ている。
きょうは一部報道で、ECBがパンデミック緊急購入プログラム(PEPP)の継続期間と、異例に柔軟な対応を従来のプログラムに適用する是非を巡る検討のため見直し作業に乗り出したとの報道が伝わっていた。来月の理事会で見直しを議論する見通しだという。ECBは従来の資産購入プログラムで自ら課した制約をPEPPには適用していない。
ポンドドルも1.27ドル台に下落。今月にサポートされていた200日線を再び試す動きも見られているが、本日の200日線は1.2725ドル付近に来ている。ポンド円は円高の動きも加わって133円台まで下落。再び下げトレンドを形成しつつあるようだ。
英中銀は先週、金融政策委員会(MPC)でマイナス金利の採用が正当化された場合に効果的に実施する方法を探る考えを示したことで、ポンドは売りが強まっていた。ただ、市場からは早期のマイナス金利採用はなく、2021年後半までないとの指摘も聞かれる。しかし、英中銀はマイナス金利により真剣になっており、明確に焦点を当てていることから、最終的には政策ツールとして採用する方向にシフトしているという。
一方、資産購入プログラムの拡大については年内に実施される公算が大きいという。11月か12月のMPCで実施され、500億ポンドの拡大が見込まれるという。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
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