東京の大学生がインターンで人口を増やす！？鍵は“みかん”｜WEB ニュース特集 愛媛インサイト - nhk.or.jp

愛媛県の西予市明浜町に東京から大学生が続々と訪れました。
その目的は“みかんインターン”。
過酷な農作業の様子や、みかんの魅力をインスタでも発信。
学生たちは過疎化する地域をどう変えるのか！？

（ＮＨＫ松山放送局　八幡浜支局　勅使河原 佳野）

東京の大学生が明浜町に！

人口およそ２８００の西予市明浜町に、東京から続々と大学生がやってきました。
このインターンを企画したのは東京農業大学の３年生、中村優斗さんです。幼少期を松山で過ごしたことがあります。
きっかけは、大学１年の頃の夏休みに明浜町を訪れ、みかん農家でアルバイトを体験したことでした。

（中村優斗さん）
「大学に入学してからコロナが流行し、１度も大学に通えない期間がありました。キャンパスに通えない中で、愛媛県でみかん農家でアルバイトしたいなと思ってきたのがきっかけです」

海と山に面して自然豊かな風景や、地元の人たちの温かさに魅了された中村さんは、１か月間アルバイトとして滞在する中で、地域にさまざまな課題があることも知ったと言います。

（中村優斗さん）
「若い農家さんがいなかったり、若い人が町から出て行って活気が無くなっているという話も聞きました。自分ができることはなんだろうと考えた時に、まずは周りの大学生を明浜町に連れてくることだと感じました」

みかんインターンで“関係人口”を増やしたい

このインターンは、町の“関係人口”＝訪れたり関心を持ってくれたりする人を増やしたいと企画されました。
その名も“みかんインターン”。
３回目となる今年は東京農業大学の学生２０人が参加しました。
インターンの１週間は、グループに分かれて農家の元で実習を行います。
みかんやぽんかんなどを育てている齊藤満天さんのもとには３人の学生が訪れました。

夏のこの時期は、つたが茂ってかんきつの木を覆ってしまい、太陽の光が当たらなくなってしまいます。
学生たちは、齊藤さんとともに、このつたを１つ１つ手作業で取り除いていきます。
「美味しいかんきつが実るように、地道な手入れが大切だ」と説明を受けました。
大学で農業を勉強し、数々の実習を行っている学生にとっても、新鮮な体験です。

（参加した大学生）
「初めてこんなに急斜面のなか作業をしているので大変ですが、こういう大自然の中で作業ができるのはとても楽しいです」

（農家の齊藤満天さん）
「みんな一生懸命やってくれるんでありがいたいですね。田舎って若い人もあんまりいないので、学生が来てくれることで刺激があっていいかなって思います」

ＩＴ化するかんきつの最前線を体験

インターン期間中は、実習だけでなく市内の企業も訪問しました。

この日訪れたのは、かんきつの生産管理などを行う会社です。
訪れた学生たちからは、さまざまな質問も出ました。

「農家が収穫したかんきつの量はどのように管理しているんですか？」

「スマートフォンのアプリも活用しながら、管理を行っているんです」

農業実習で触れたかんきつが、どのように消費者の元に届くのか、産地でのリアルを学びました。

ＳＮＳ・インスタを駆使　学生目線で発信！

学生たちは、インターンでの経験をＳＮＳに投稿しています。
自分たちの経験にとどめず、広く町の魅力を発信するためです。

みかん山での作業のほか、町特産の真珠の養殖体験。そして、地元のきれいな海岸の風景など。
５０００人を超えるフォロワーに、自分たちの目線で見たものや感じたことを伝えていきます。

学生のアイデアは生かされるか

さらに、インターンの終盤には、地元の人たちを呼んで報告会を開きました。
１週間の経験をもとに、どのように地域を盛り上げていくかを考えて発表します。

かんきつジュースを販売するイベントを大学内で開催することや、町のおすすめの場所をマップにするという、自由な意見がたくさん出ました。
学生たちを受け入れた地元の農家も、町とつながりを持ち続けてほしいと話しています。

「明浜の土地柄や人の良さ、そして自然を見てもらって、東京に帰ったあとも、明浜の宣伝をしてもらえたらうれしいです」

みかんインターンはことしの冬にも開催予定です。
かんきつ農家にとって繁忙期となる冬の時期に、今度は収穫を体験します。
中村さんたちは、外から地域とつながる“関係人口”を増やして、明浜町を活性化させたいといいます。

（中村優斗さん）
「僕たちみたいなよそ者で、若者である僕たちが地域になにか変化をつけられるんじゃないかと思っているので、これからもどんどん明浜町を動かしていけたらいいなと思います」

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