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【福島県会津若松市 デジタル田園都市国家構想(上)】市民の理解不可欠 サービス利点浸透が鍵 | 福島民報 - 福島民報

会津若松市中心部で開かれた住民説明会。空席が目立つ=19日夕
会津若松市中心部で開かれた住民説明会。空席が目立つ=19日夕

 国のデジタル田園都市国家構想推進交付金を受けた福島県会津若松市は、情報通信技術(ICT)を暮らしに生かす「スマートシティ」の取り組みを加速させる。全国最大規模の5億5346万円の交付金を基に8億3000万円余りを投じ、10月から順次、独自のデジタルサービスを提供する。地方に求められている人口減少対策や雇用確保のモデルケースになると期待されている一方、課題も少なくない。

 「デジタル社会の進展を市民に実感してもらいたい」。市長の室井照平(66)は23日の記者会見で強調し、事業にかける決意をのぞかせた。東北地方で唯一、上限額が最も高い交付金メニュー「タイプ3」の採択を受けた。今年度内の実用化に向け、急ピッチで準備を進めている。

 大きな特長は個人情報を複数の分野間で活用し、市民に最適なサービスを提供できる点だ。例えば、防災分野では、個人の位置情報から、災害時の避難誘導や安否確認をリアルタイムで伝えることができる。さらにヘルスケア分野を連携させることで、疾患や体調、服薬などを踏まえた個別の避難ルートを案内できることも想定される。

 一連の取り組みには個人情報を提供するという利用者の同意が前提となる。市は、既存の地域情報ポータルサイト「会津若松+(プラス)」を利用者の入り口にして、分野間の連携サービスを推進する。

 ただ、今年3月時点で会津若松+へのID登録者数は約1万8000人。人口約11万5000人の15%程度にとどまる。市民の関心は十分とは言えない。

 市は18日から24日まで市内9地区で住民説明会を開いた。国の採択後初めての機会で、市スマートシティ推進室長の本島靖(56)ら市の担当者が連日、立ち会った。

 市中心部の説明会に参加したのは定員80人に対し7人。別会場ではゼロというケースもあり、参加者の合計は56人だった。

 中心部の説明会を訪れた自営業の女性(70)は市の取り組みに理解を示す一方、「使いこなせるか心配になった。年配者のサポート体制も必要なのでは」と戸惑う。別会場を訪れた農家の男性(68)は「今の生活でもそれほど困ってはいない」と冷静だ。

 参加しなかった市民からは「カタカナの専門用語が多く、仕組みの意味が分からない」との声も上がる。

 本島は「サービスを市民に十分に浸透させるのは難しい。地道に市民の理解を積み上げるしかない」と話す。市は10月にもスマートシティに関するサポーター制度を創設する。関心を寄せる市民に取り組みを交流サイト(SNS)などで発信してもらい、参画の輪を広げていく。

 いかに市民に利点を理解してもらい、事業効果を上げられるか。難しく見える仕組みを市がどう分かりやすく説明できるかが鍵となる。

 県は会津若松市の取り組みを注視する。先進的な事業の効果を福島県内市町村にも波及させたい考えだ。福島県デジタル変革課の担当者は「先行モデルとして、他の市町村をけん引する役割を担う」と期待する。(文中敬称略)

■デジタル田園都市国家構想推進交付金とは

 国が自治体のデジタル技術活用を財政支援する。交付メニューは「タイプ1~3」の3つがあり、それぞれ補助率や上限額が異なる。上限の最も高い「タイプ3」は会津若松市を含め全国6市町村が採択された。共通のデータ基盤上で複数のサービス連携させ、今年度内に実用化することを要件とする。このほか、県内では県と9市町村が「タイプ1」に採択された。

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