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カギはオレイン酸!「脂肪の質」重視で新設の第7区の和牛|NHK 鹿児島県のニュース - nhk.or.jp

”和牛のオリンピック”とも言われる「全国和牛能力共進会」。今回の大会から「脂肪の質」を評価する第7区が新設されました。
「脂肪の質」はおいしさを左右するということなんですが、その鍵を握るのは「オレイン酸」という物質です。「オレイン酸」によって、どのようにおいしさが変化するのでしょうか?
またなぜ今回「脂肪の質」を評価することになったのでしょうか?詳しく取材しました。
(鹿児島局記者 熊谷直哉)

【A5ランクの意味は?】
焼き肉屋に行ったとき、よく耳にする「A5ランク」。どういう意味か知っていますか?。
和牛の格付けは、主に歩留まり率という牛から肉がどれだけとれるかという割合とサシ=脂肪交雑の量などで決まっています。12段階あるこの格付けで、サシの量がより多い8〜12までがA5ランクの5というランクにあたります。
これまではこの「サシの量」が重視されていたのですが、今回の大会ではサシだけではなく「脂肪の質」を重視して評価することになり、第7区が新設されました。

【脂肪の質とは…】
「脂肪の質」とは一体どういうことなのか?それを調べるために和牛の審査に詳しい和牛登録協会の坂元さんに話しを聞きに行きました。

(和牛登録協会鹿児島支部 坂元信一副支部長)
「牛肉のおいしさを考えたときに1つの目安としては、一価不飽和脂肪酸ですね。MUFAとかいいますけれども。その改良を進めていくのが今度の考え方になってきます」

飛び出したのはMUFA(一価不飽和脂肪酸)という聞き慣れない言葉。その代表的なものは、オリーブオイルなどに多く含まれるオレイン酸という物質だといいます。オレイン酸などの量が多いと脂が低い温度でも溶け、口溶けが良くなる上に、和牛独特の香り「和牛香」が際立つようになるというのです。

(坂元副支部長)
「数値が上がることは一番わかりやすいのは融点、脂が溶ける温度ですね。融点がちょっと低めだと思います。口に入れた時口溶けがいいという表現ですよね」

【ライバル各県もオレイン酸推し】
ライバルとなる各県では、すでにこのオレイン酸が含まれる量を全面的に打ち出しているところもあります。鳥取県はオレイン酸55%以上の牛を「鳥取和牛オレイン55」と名付けてブランド化しています。

また茨城県の畜産農協連もオレイン酸が56%から57.9%の牛の枝肉には「オレイン酸プレミアム」のスタンプを押してPRしています。

オレイン酸をめぐる競争が加熱する背景には、消費者の健康志向や、おいしさをより客観的に知りたいという需要があると、坂元さんは指摘します。
(坂元副支部長)
「肉の量、要するにたくさん取れること。それからサシが入る。肉質というんですけど、そこの改良はかなり進んできました。
一方でやはり消費者の健康志向というのも当然出てきていると思うんですね。サシだけではなくておいしい牛肉というのも考えていかないといけない」

【鹿児島も県をあげた対策に取り組む】
では、どうすればオレイン酸を増やし、「脂肪の質」向上することができるのか?。
県もさまざまな取り組みを進めてきました。鹿児島県畜産試験場の川畑健次さんは、牛に与える餌の改良を進めています。通常、餌に使用するトウモロコシ・大麦・大豆かす・ふすまに加えて、川畑さんが着目したのが、オレイン酸を多く含む米ぬかです。

しかし、米ぬかを若いときから大量に食べさせると、牛の胃が小さくなり、育ちにくくなることもわかってきました。
米ぬかを与えるタイミングや量など、試行錯誤を繰り返しながら、今回の大会に向けて研究を進めてきました。

(県畜産試験場 川畑健次肉用牛研究室長)
「これまでの結果としては、5%それから10%をあたえた試験牛の中では、従来の肥育様式からすると、短期肥育という生後24か月のなかでも2%ほど高まるという結果がでています」

【7区に出品の鹿児島の牛は】
今回の大会に、果たして鹿児島の牛のオレイン酸の対策は間に合っているのか?。7区に鹿児島代表の牛「左之介」を出品する、曽於市の加治佐龍さんを訪ねました。

加治佐さんの農場でも、やはり米ぬかを飼料に加えていました。その配合の割合は牛農家にとってトップシークレットだといいます。

(7区に出品 加治佐龍さん)
「大事なのは割合比なのかなと思っていますけど、いれすぎてもいけないし、いれなさすぎもいけないし」

ただ加治佐さんは、餌に加えて牛が育ちやすい環境作りが大切だと考えています。定期的に血液検査を実施し、超音波で体の状態を確認するなど細かい体調の変化に気を配ってきました。

(7区に出品 加治佐龍さん)
「餌以外のやれることが肥育農家としては大事じゃないかなと思っていますので、意識してやっています」

オレイン酸を巡る負けられない戦い。米ぬかと徹底した牛の健康管理で「頂点」を狙います。

(7区に出品 加治佐龍さん)
「負けられない戦いが地元鹿児島であると皆さん意気込んでいるんで、その輪の中に入ったという気持ちは特に今も思っています。新設の7区で首席をなんとかとりたいと思います」

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