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人材戦略・経営戦略の連動こそが鍵~「人材版伊藤レポート2.0」が ... - JBpress

 2022年5月に経済産業省が公表した「人材版伊藤レポート2.0」。それを生み出すきっかけとなったのは、一橋大学CFO教育研究センター長の伊藤邦雄氏が座長を務める「人的資本経営の実現に向けた検討会」である。本ディスカッションには、検討委員として同レポートの作成に貢献した、ロート製薬の取締役CHROの髙倉千春氏とSOMPOホールディングスのグループCHRO執行役専務の原伸一氏がパネリストとして登壇。伊藤氏を交えて「人的資本経営推進の要諦」について活発な議論が展開された。

※本コンテンツは、2022年8月26日に開催されたJBpress/JDIR主催「第1回取締役イノベーション」のパネルディスカッション「『人的資本経営の実現に向けた検討会』委員企業とともに考える、『人的資本経営』推進の要諦」の内容を採録したものです。

人的資本経営の必要性と企業に与えるインパクト

伊藤邦雄氏(以下、伊藤)  2014年の「伊藤レポート」と2017年の「伊藤レポート2.0」における議論が2022年の「人材版伊藤レポート2.0」につながったわけですが、それらに共通するテーマは「企業価値の創造」でした。今日はその部分についても意識しながら、人的資本経営についてディスカッションを進めたいと思います。

髙倉千春氏(以下、髙倉) 伊藤先生が座長を務められた経産省の研究会で、各社のCHROと多角的な視点で討議しました。そのインプットを受けて、現在、どのように実装を進めていくかに尽力しています。取締役会の経営課題の真ん中に「人」の問題を据えた今、経営視点を持って人事を遂行する時代が来たと実感しています。

原伸一氏(以下、原) 私は人事に関してはキャリアが浅く、それまでは資産運用やIRといった、投資家と対峙する仕事を行ってきました。現在は、経営において最も重要な資本である「人材」をどのように獲得して活性化し、グループの成長につなげるかということに日々悩みながら取り組んでいます。

伊藤 早速ですが、お二人は人的資本経営をどのように捉えていますか。

 経営戦略の遂行に当たって人を資本として捉えることは、まさに経営そのものだと考えます。当然、資本の価値は上がりもするし下がりもする。価値を最大化して、持続的な企業価値の向上につなげていくことが大切だと思います。

髙倉  企業が持続的に成長するためには、ドライブするエンジンとして「人」の問題が重要です。なぜなら今までの既定路線では新しいものを生み出せないからです。将来に向けて企業価値をつくっていく担い手は「人」です。経営の源泉、成長の源泉こそが人的資本なのではないでしょうか。

伊藤 これまでは「人材は大事だ」と言いながらも、人的資本投資の発想が薄かったと思います。今後、人的資本経営を進めていかなければ、どのような不都合な現実が待っているのでしょうか。

髙倉 これからは、現場の人間一人一人が「プロの仕事人」として企業価値創造の一端を担っていく時代です。人の心に火をつけられなければ、企業の再生は起こらないという危機感があります。

 今、多くの企業が人材集団の抜本的な改革の必要性を痛感し、さまざまな方策に取り組み始めていると思います。そこでは社員の意識の変化にも注視しなければなりません。現在、社員は自分のキャリアを「自分ごと化」して考えざるを得ない状況です。会社は個人の意識の変化に対応しながら人材戦略に本腰を入れるべきでしょう。

伊藤 私は人的資本経営を進めなければ、少なくとも3つの点で「劣化」が起こると考えています。まずは有能な人材を吸引できなくなるという点。今後は人的資本に関する情報開示が進みます。人材に投資する会社なのか、しない会社なのか、あるいは、自分のキャリアを自ら選択させてくれる会社なのか、そうではないのか。当然、前者の企業に有能な人材は吸引されていくわけです。
 次に経営戦略における実行力の劣化も起こると思います。経営戦略を担う主体は人材です。人材に投資してバリューを高めるのは、経営戦略の実行力を高めることにつながるからです。同時に、投資家からの評価の劣化も起こるでしょう。人的資本の情報が開示されれば、経営戦略の見方がより深くなります。人的資本経営に取り組んでいない会社は、自ずと投資家から厳しい評価を受けるはずです。

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