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※月刊『宣伝会議』2023年1月号(12月1日発売)では、「認知獲得から販促、CRMまで。最新・SNSマーケティング」と題し特集を組みました。
ここでは、本誌に掲載した記事の一部を公開します。
Instagramはコスメ情報の収集利用No.1
トレンダーズが運営する「MimiTV」は、総フォロワー数562万人にも及ぶSNS美容メディア。最新コスメ情報を積極的に収集・発信する人々を中心に支持を集め、新作コスメ情報や美容トレンド、ショート動画による「美容でときめく」コンテンツを各SNSで発信している。「MimiTV」チーフプランナーを務める中谷友里氏によると、15歳から24歳が美容に関する情報収集のために最も使用しているメディアはInstagramであり、YouTube、Twitterがそれに続く。
また、それ以外の年齢層(25歳~ 44歳)においても、Instagramの利用率はトップであり、美容業界において投資順位を優先すべきSNSだと考えを述べた。また、Metaでパートナーマネージャーとしてメディア・マーケティング戦略を立案している奥田さら氏は、Instagramの最新情報を紹介。
「Instagramは、認知から購入までのすべての行動をカバーできるメディアです。なぜそれが可能なのかといえば、利用者の興味が先行し、発見から意欲、購買までの行動をシームレスに引き起こさせるからです。また、Instagramが特に購買に強い理由は、“好き”と“欲しい”を同時につくれるメディアである点にもあります。ターゲティング精度が高いので、利用者の興味関心に合ったブランドの発見を促進できるのです」と、Instagramが購買に強いメディアであると解説した。
奥田氏によれば、Instagramの利用者は、気になるブランドと偶発的に出会うと「自分ごと化」するための行動を起こすのだという。また、利用者の83%がInstagram内で商品やサービスを見つけ、25%が保存機能を使って投稿を保存。44%の利用者が、ブランドサイト、ECサイトなどで後日商品の確認や購入をしているとのデータを明らかにした。
リール機能の活用は「UGC」がポイントに
Instagramの多様な機能の中でも、利用者にブランドやストーリーを伝えられる機能が「リール」だ。
「動画の重要性は、年々加速の一途をたどっており、2025年には動画広告は現在の倍である1兆円規模の市場になると予想されています。MetaではInstagramの動画機能であるリールを“グローバルステージでのエンタテインメント”と位置づけ、全社を挙げて動画コンテンツに注力していく予定です」と奥田氏は説明する。
その言葉のとおり、リールのグローバルコミュニティは拡大を続けており、全世界のInstagramアカウントのうち、45%以上は週に1回以上の頻度でリールを再生している。リール機能の世界的な人気がうかがえるデータだ。
奥田氏は、今後のリールの活用に関してキーワードになるのが「UGC」であると述べる。UGCとは、一般ユーザーによって制作されたコンテンツのことであり、生活者の口コミやレビューなどもそこに含まれる。「Instagramは、UGCと非常に相性が良いんです。その理由はInstagramが “コミュニティ”、“カルチャー”、“クリエイティブ”が生まれるプラットフォームである点にあります。それらは利用者が起点となって生まれるため、企業発のリールコンテンツも“UGC風”であることがとても重要になります」。
Instagramにおけるクリエイターの活用事例として、花王がトレンダーズと共に実施した「クリアクリーンプレミアムホワイトクリアパックハミガキ」のキャンペーンがある。話題化のために発売前にストーリーズ投稿を行い、利用者の理解促進のためにライブ配信を実施。次に、購買へのブリッジとして再度ストーリーズを投稿し、最後に、配信認知獲得のためのフィード投稿と、EC誘導施策のためのInstagram広告配信を行った。これにより、ライブ配信時のコメント数が想定の130%を記録。その内容も26.1%が商品についての質問や、購買意欲を示すコメントとなっており、売上に貢献したという。
バズったコスメは何が違う?POSを動かすSNS活用術
美容市場でSNSを活用しマーケティングの成果を最大化するには、どのようなポイントがあるのか。中谷氏は、まずはターゲットを明確にし、設定したターゲットをしっかりと理解することが重要だと話す。
「MimiTVでは、ターゲットを“美容感度”に応じて3つの層に分けています。まずは、自らコスメ情報を活用し、シェアまで行う『美容オタク』層。これが全体の約18%です。次に、多様な趣味と並行してメイクを楽しみ、トレンドを重視する『ミーハー』層が約30%。最後に化粧品へのこだわりが弱く、使用している人が多い傾向の製品を利用する『美容マス』層が52%です」(中谷氏)。この美容オタク層からマス層への情報伝達の流れを理解することが、店頭POSを動かすようなバズるコスメには重要だという。
「店頭POSを動かすには、3つの変数が必要です。①評判の土壌をつくる②評判を拡散させる③店頭の棚で目立つ。このうちの①と②こそが、消費者に“店頭想起”してもらうためのプロモーション戦略となります」と中谷氏。同氏によると店頭想起を実現するためには、各SNSにおける話題化させたいタイミングの事前の“評判(口コミ)形成”こそが最大の鍵を握るのだという。発売前後に、Twitter・Instagram美容オタクによる発話で初速をつけた後は、Twitter・Instagram両軸での「口コミ×AD(広告)」のリーチ施策に移行していく。特に、このADを忘れないことが、①で形成された評判を美容マス層にまで定着させ、初速だけでなく長く売れるために大事なポイントであると述べた。
トレンドに敏感なユーザーが多い市場だからこそ、ユーザーの動向をとらえ、その声を生かした情報拡散が、戦略の肝となりそうだ。
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