「キャリアは一本道ではなく曲がりくねった道」。世界最大級のビジネス向け交流サイト(SNS)を運営する米リンクトインの日本法人リンクトイン・ジャパンの田中若菜代表は自身のキャリアをそう振り返る。
田中氏は転職を5回以上経験。さまざまな業界で幅広いスキルを身に付けたことが、日本法人初の女性代表就任につながったという。多様なキャリアを持つロールモデルがまだ少ない日本で、自身の経験を基に、女性の地位向上をミッションとして掲げる。終身雇用制度からスキルベース採用への移行が女性活躍の鍵になると考えている。
3月下旬に就任した田中氏は、2003年にハーバード・ビジネススクールを卒業し、フランスのスキンケア大手 ロレアルや英食品・日用品メーカーの ユニリーバでマーケティングを担当。12年には東京電力福島原子力発電所事故調査委員会で勤務し、危機管理を学んだ。役員を務めた米グーグルではデジタルトランスフォーメーション(DX)を手掛けた。
日本で根強く残る終身雇用制度は、出産などのライフイベントによって連続して働けない女性には不利に働くケースが多い。スキルベース採用が進めば労働市場の流動性が高まり、女性労働者が高収入の職に就くチャンスが増え、賃金格差は縮小すると田中氏はみている。
経済協力開発機構(OECD)が22年に発表した調査結果によると、日本における男女間の賃金格差は22.1%と先進7カ国(G7)の中で最も大きい。アベノミクスをきっかけに女性の労働参加率は上昇したものの、非正規就業者の割合は約5割と男性の約2割に比べ多い。
リンクトインは、世界で9億3000万人以上、米国だけで約2億200万人のユーザーを擁するが、日本国内では約300万人。岸田文雄政権が掲げる新しい資本主義の第1の柱である「人への投資」が、人材のスキルアップを支える同社に好機となる可能性がある。
23年3月期決算からは有価証券報告書で人的資本の情報開示が義務化され、企業は人材育成の方針などについて記載を求められる。こうした中、リンクトインは 日立製作所や 富士通などとパートナーシップを組み、スキル向上や人脈構築を支援するサービスを提供している。
一方で、自分を売り込む「セルフブランディング」のツールでもあるリンクトインは、日本になじみにくい側面があるのではないかという見方もある。田中氏は、ある程度文化の壁はあるとした上で、リスキリング(学び直し)のニーズのある企業との提携や情報開示に前向きな学生など若い世代を取り込むことでユーザー数の拡大を狙う。
田中氏がリンクトインに登録したのは07年。「世の中の人に私の軌跡を見てもらえることはとてもうれしい」。自分の経歴や成果を公開することで、就労年数や労働時間で自分の能力を示す必要はなくなるのではないかと言う。
10代の子ども2人を育てる田中氏は、より多くの日本企業が労働者のスキルを重視することを期待している。「自分の娘が大人になるころには、日本社会がもっと良くなっていてほしい」と語った。
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