売上高に占める営業利益の割合が平均50%超えと、国内メーカーの中でも屈指の高収益企業として知られるキーエンス。キーエンスのOBで、経営コンサルティングを展開するカクシン(大阪市)の田尻望CEO(最高経営責任者)は、付加価値をつくり出すマーケティングの仕組みにキーエンスの強さの秘密があると話す。「高品質の商品を投入したのに、売り上げが伸びない」「取引先からいつも値下げを求められる」「開発や営業とうまく連携をとれず、成果につながらない」――。そんな課題を解決する、キーエンス流BtoB(企業間)マーケティングのポイントを田尻氏が解説した。
※本稿は、2023年9月25日に開催した日経クロストレンド・カレッジのセミナー「キーエンス出身者が明かす、“最強”BtoBマーケティング戦略」を再編集したものです。
この記事の流れ
- キーエンスはなぜ強い企業でい続けられるのか?
- 潜在ニーズを的確に捉える手法
- BtoBマーケティング戦略、見直しのポイント
- 最初に着手すべき改善点は?
- 構造・仕組み化が成功への近道
今日は、「キーエンスに学ぶ圧倒的な高付加価値経営を実現するBtoBマーケティングの在り方」をテーマにお話しします。
結論から言うとBtoB企業が目指すべきゴールは、マーケットイン型の高付加価値経営です。値下げ合戦ではなく、付加価値ベースでの価格設定。コモディティーではなく、独自性の高い商品やサービスの追求。“ご用聞き”営業ではなく、顧客の課題解決に寄り添うソリューション営業。そして、マーケットイン型商品開発サイクルの構築。顧客企業の状況に応じた多彩な打ち手で事業変革を導くことが、営業利益向上の鍵となります。
そして、この事業変革をリードするのがマーケティングの役割だと私は捉えています。「営業とマーケティングは共存できるのか」といった話も聞きますが、そもそも営業とマーケティングは対立構造でなく、営業もマーケティングに包含されているものです。この共通理解がないと、組織の連携がうまくできず、成果が出にくくなるため注意しなければなりません。
田尻 望 氏
カクシンCEO

2008年大学卒業後、キーエンスにてコンサルティングエンジニアとして、重点顧客を担当。大手システム会社の業務システム構築支援を始め、年間30社以上に及ぶサポートを手掛ける。その後企業向け研修会社の立ち上げに参画し、独立。現在は年商10億~2000億円規模の経営戦略コンサルティング・セールス&マーケティング研修などを行い、支援開始から2カ月半で月6000万円、年7億円の利益改善といった企業を次々と輩出。22年の顧客の年間付加価値向上額は100億円を超える
キーエンスはなぜ強い企業でい続けられるのか?
キーエンスは、センサー、測定器、画像処理機器、制御・計測機器など、主に工場の生産性向上を実現する機器類を扱っているメーカーです。新型コロナウイルスの影響を受けて一時業績が落ち込んだものの、2022年3月期にはV字回復を実現。さらに、23年3月期の決算では、売上高9224億、営業利益4989億円といずれも2年連続で過去最高を記録し、営業利益率は54.1%と、国内でもトップクラスの収益力を誇ります。
こうお話しすると「競合がいないのでは?」と言う人もいますが、実は、三菱電機、オムロン、海外ではシーメンスといった名だたる企業が競合に名を連ねています。激しい競争の中でなぜキーエンスは高収益を維持できるのか、4つのポイントでお伝えします。
ポイント(1) 「付加価値戦略」と「差別化戦略」を同時に行う
キーエンスの強さは、付加価値戦略と差別化戦略を同時に達成している点にあります。分かりやすく言うと、付加価値の戦略は「あなたの役に立ちます」戦略、差別化戦略は「他社とは違います」戦略です。
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