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KBL日本人選手第1号 中村太地<後編>「僕は成長するために韓国でバスケを学ぶ」(小永吉陽子) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース

今年度から導入されたアジア枠を活用して韓国バスケットボールリーグ(以下KBL)の原州DBプロミ(以下DB)への入団が決定した中村太地(190センチ/PG)。今年の夏で23歳になる若者は、自身の成長のために海を渡る決意をした。インタビュー後編は、Bリーグの4シーズンで得たもの、日韓バスケの差、韓国で学びたいことや目標について語ってもらった。

◆インタビュー<前編>

直談判の行動力で韓国進出を決めた舞台裏

大学時代からBリーグでプレーし、若手代表でも経験を積みながら毎年成長(写真/小永吉陽子)
大学時代からBリーグでプレーし、若手代表でも経験を積みながら毎年成長(写真/小永吉陽子)

プロの中で真剣勝負ができた4シーズン

――Bリーグで特別指定の期間を含めて4シーズン(シーホース三河、富山グラウジーズ、横浜ビー・コルセアーズ、京都ハンナリーズ)でプレーした手応えは?

プレータイムが獲得できて、数字もある程度残せたし、プロ経験がある選手たちと真剣勝負ができたことは収穫ですし、大学生でもこれだけやれるんだというのは示せたと思います。最初のほうは自由にやれたんですけど、年々スカウティングをされてプレッシャーが厳しくなったということは、そこで自分の存在感を出せたのかなと思います。

――課題として見えたところは?

コミュニケーションが不足していました。年上の選手が多くてガードとして指示をするのに言いづらいこともありました。京都は外国籍選手が中心のバスケットなので、終盤はジュリアン(マブンガ)がチームをコントロールしていたこともあり、逃げるっていう言い方はイヤですけど、ゲームの終盤になると、より安全といいますか、確率のいい外国籍選手にボールを集めてしまいました。そこは自分がコントロールできるスキルが足りないところでした。

――シーズンの後半には、同じポジションでもタイプの違う、同期の寺嶋良選手が入団しました。ライバルができてどう感じましたか?

寺嶋が入るまではボールを運ぶのが主に自分しかいなくて、ボールをハーフコートまで運ぶのに手間がかかって疲労が削られていたので、寺嶋のフレッシュさに助けられました。寺嶋が入ったことで1番(PG)と2番(SG)の間のようなプレーも経験できたし、今のバスケはハンドラー2人いるのが主流になってきているので、そういうのにアジャストすることは、京都で勉強になったことです。

オリジナリティがあるビッグガードになりたい

――寺嶋選手が加入してからは、2番寄りのポジションで本来のシュート力を発揮していました。自分ではどのようなガードになりたいのですか?

やっぱり、1番がメインで2番もできるガードですね。2番メインで1番ができるというよりは、1番が本格的にできて、その中で2番だったり、ポジションレスにやれればいいよね、と思い始めています。最初は1番をやることしか目がなかったんですが、いろんなガードのやり方があるんだな、というのはBリーグや国際大会で学びました。

――中村選手といえば、2018年のアジア競技大会(ジャカルタ)のフィリピン戦とイラン戦の前半が印象的で、スペースにうまく攻め込んだり、いい展開を作ったり、目を見張るようなプレーをしました。これを見た時、レベルの高い試合をどんどん経験することで大型ガードとして開花していくのでは、と感じたのですが、自分では大型ガードとしての可能性をどのように感じていますか?

あの大会は自分でも手応えがあったんですけど、どちらの試合も前半でバテてしまって……。でも、後半までやれるスキルと体力があれば、国際大会でもやれるんだな、と思いました。その時の戦術もガードから仕掛けるピック&ロールが主流でしたし、シューターがスクリーンを生かして打つことだったので、イーさん(DBのイ・サンボム監督)から教わった2対2が応用できるようになってきたと感じました。日本だとビッグガードで成功している人はいないので、大きくてガードができることがこれからの日本の強みになってくると感じています。自分のオリジナリティを出せるように、ビッグガードの道しるべになる選手になりたいです。

DBの主力選手たち。上段左からユン・ホヨン、キム・テスル。下段左からホ・ウン、キム・ジョンギュ。このほか、昨季に兵役を除隊したドゥギョンミンがメインガードを務めている(写真/小永吉陽子)
DBの主力選手たち。上段左からユン・ホヨン、キム・テスル。下段左からホ・ウン、キム・ジョンギュ。このほか、昨季に兵役を除隊したドゥギョンミンがメインガードを務めている(写真/小永吉陽子)

なぜ韓国から学ぶのか。日韓バスケの差とは?

――今まで大学選抜や国際大会で韓国と対戦してみて、韓国バスケをどのように感じていますか?

日韓戦というだけでいつもより倍以上力が入るし、熱いし、激しいし、消耗も激しいです。お互いに「自分たちのほうが上だ」と見ている感じですよね。それはそれで、切磋琢磨していいライバル関係だと感じます。

ただ、学生だと何回か勝てるようになりましたが、代表戦では帰化選手なしで戦ったらまだ韓国のほうが強いと思います。韓国のほうがサイズもあるし、ゾーンディフェンスなんかは戦略的で緻密でローテーションが速い。チェンジングディフェンスをやっている歴史が韓国のほうが長いから、戦略的にやられると「オッ!?」と一つ遅れてつまずくところがあります。術中にハメられている感があるというか……。それでいて、シュートもうまいし、フィジカルも強い。

それに、自己犠牲といいますか、チームバスケットをしています。ピック&ロールを見ていても、タイミングがバッチリなんですよ。5人がわかって動いてるんです。日本ではまだ2、3人だけが連動して、ただボールを待っているときが多いです。最初は「そこもパスするの?」と思ったんですけど「もう一つ空いているだろう」とイーさんに言われて、確かにそうだと納得することがありました。

――では、DBのバスケの印象は?

ディフェンスが激しくて、連動的なオフェンスを展開するチームです。外国人選手に依存することもなく、全員が一体となっているのがいいなあと思います。どんな選手が出てきてもマッチしていて、孤立している選手がいないんです。全員の一体感はKBLの中でもトップクラスだと思います。

――DBは、その連動するバスケを作る1、2番のガードの層がとても厚いチームです。競争が激しいですが、勝ち抜く自信は?

そうなんですよ。ガードが渋滞して、いっぱいいますよね。ましてや代表クラスやベテラン選手もいるのでいい刺激になります。そこはチャレンジですね。練習中からチーム内で競争ができて高いレベルでやれるのは、見えてくるものも違うと思います。自分のことを誰も知らないところで実力を見せて、どれだけ信頼を勝ち取れるかというチャレンジをやってみたいです。

オンボールでもオフボールでも生きる選手になりたい

――KBLでの登録名を「タイチ」にした理由は?

ナカムラ~って呼ばれるより響きがいいじゃないですか(笑)。タイチのほうが呼びやすいし、親しみやすいのが理由です。すでに、DBのフロントの方にはタイチと呼ばれていて、名字で呼ばれたことがないです(笑)

――DBのファンはとても熱いですが、失礼ながら、原州(ウォンジュ)はこれといった観光スポットがない静かな都市ですよね。どんな印象がありますか?

本当に何もないところですよね(笑)。バスケに集中できる環境なのでちょうどいいです。KBLのファンの方って「ワー!キャー!」と一つのプレーに対して一喜一憂する熱気がものすごいじゃないですか。DBのファンも熱いので、その雰囲気の中でバスケがやれるのが楽しみです。

――韓国語の理解度はどうですか? 韓国での生活で楽しみにしていることや、逆に不安なことは?

韓国語は勉強中です。頑張ってます。でも、まだ全然わからないです。通訳の方がつく予定なので、コミュニケーションを取りながらやっていきたいです。生活面では韓国のご飯が大好きなので問題ないと思います。不安なことよりも今はワクワクが勝っていますね。バスケもそうだけど、試合ではたくさん移動もあるので、行ったことのないところに行くのが楽しみです。隣の国から今まで知らなかったことを吸収してきたいです。

――KBLでやりたいプレーや目標を聞かせてください。

やりたいプレーは、自分がゲームをクリエイトして、コミュニケーションも取れて、積極的にシュートを打つことです。もちろん、ボールを持てない時間も増えてくるだろうし、その中でどうやってボールを持つかというのも大事になりますが、ボールがない状況でのスキルって大事だと思うんです。ボールを持ってからしかプレーができないのと、ボールを持たないでも生きるのでは、スペースを作る面でも大きな違いがあるので、オフボールでも、オンボールでも生きる選手を目標に成長していきたいです。

――渡韓の予定はいつ頃になりそうですか?

今、ビザを申請しているところです。イーさんからは「7月からは練習試合が始まるから早く来い」と言われているのですが、韓国に移動してからもコロナの影響で自主隔離期間があるので、練習に参加できるのはもう少し先になりそうです。早くチーム練習に参加したいですね。

中村の師匠であるイ・サンボム監督。個性を生かしてチーム作りをする手腕を持つ(写真提供/中村太地)
中村の師匠であるイ・サンボム監督。個性を生かしてチーム作りをする手腕を持つ(写真提供/中村太地)

「太地を育てて日本に返すことが責任」とサインボム監督

昨年11月末のこと。KBLの取材でDBのアリーナを訪れたとき、イ・サンボム監督に「韓国でアジア枠が導入される可能性と、アジア枠ができたら日本人選手を獲得したいですか?」と質問したことがある。ちょうど、一足先にBリーグでアジア枠が導入された直後のことだ。

その時は「サラリーキャップの問題があるから、今すぐにアジア枠を作るのは難しいのでは」との回答だったが、間髪入れずに「でも太地には来てほしいよ」と付け加えてくれた。昨シーズン前半のDBはガード陣にケガが多発していたこともあり、「今すぐ太地にDBのユニフォームを着て試合に出てほしいくらいだよ(笑)今すぐに試合に使って育てたいね」と笑顔で師弟関係の絆を語ってくれたのだ。

勝負の世界では、師弟関係という理由だけでは簡単に試合に起用してもらえないだろう。隣の国とはいえ、環境や文化の違いは多く、言葉の壁も試練になる。

だがイ・サンボム監督は、直談判してまで飛び込んできた愛弟子に対し「彼の可能性を信じて育てたい」と覚悟を持っている。そして契約後に改めて取材したときには「育てるだけではなく、育ててきちんと日本に返すことが責任」と答えてくれた。この強い覚悟からも、日韓両国の発展という共通の志の下で導入された『アジア枠』を活用する意義は十分にあるのだと感じた。海ひとつ隔てた国でありながら、意外にも韓国やアジアのバスケは日本に知られていない。そういう意味でも、日本の若者が隣国から学んで得るものは多い。個人の成長でも、両リーグの活性化のためにも、中村太地がKBLのコートで揉まれる日を楽しみにしたい。

◆中村太地が韓国から発信

アジア枠第一号として海を渡る挑戦の中で感じたことや、韓国バスケのことについてnoteで発信予定。お楽しみに!

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