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未顧客理解の鍵は「いつもとは異なる道筋」、人にフォーカスはNG - ITpro

「未顧客理解」を理解する[3]

芹澤 連

マーケティングサイエンティスト/コレクシア マーケティングプランニング局長

全5450文字

 「買わない人=未顧客」を理解する初めての教科書『“未”顧客理解 なぜ、「買ってくれる人=顧客」しか見ないのか?』(2022年6月、日経BP発行)。経験豊富なマーケティングサイエンティストであるコレクシアの芹澤連氏が様々なエビデンスに基づいた未顧客理解の原理原則と、日々のマーケティング実務で実践できるフレームワークを、マンガと図表で詳しく解説した書籍です。「未顧客理解」のエッセンスをお届けする本連載。今回は「顧客視点」を理解する正しい方法について解説します。(技術プロダクツユニットクロスメディア編集部)

 昨今のビジネスでは、顧客視点を持つことが大切であると言われています。しかし、ペルソナやカスタマージャーニーといった「手法」が先行して広まったせいで、その本質が勘違いされているケースも多々見受けられます。実は、理解のフォーカスを“人”に合わせている限り、顧客視点で物事を捉えることはできません。

顧客が見える、と「顧客が見ている視点を理解」は別

 これは、恐らく顧客理解に関して最も勘違いされているポイントです。人を見ようとすると、あくまで「企業の視点」から、その人(ターゲット顧客)がどう映るか、どんな特徴を持った人か、他の顧客層とどう異なるかという相対的・客観的な見方で終始することになります。分析者(マーケター)と分析対象(顧客)、見る側と見られる側という関係になるため、顧客は見えても、「顧客が見ている視点で物事が見えるわけではない」のです。

 特に、ノンユーザーやライトユーザーといった「未顧客」を理解して新規獲得するためには、「未顧客が対峙している世界(文脈)」と「その文脈における合理性」を理解することが大切です。

「無関心」と「人となり」は関係がない

 顧客理解というと、とかく性・年代、価値観、パーソナリティー、ライフスタイル、趣味嗜好といった人となり(顧客の属性や内面)を理解することだと思われがちです。そうした情報を基に「ペルソナ」や「ターゲットプロファイル」をつくったことがある方も多いと思います。例えば、次のようなプロファイルを見たことはないでしょうか。

商材:清涼飲料水(属性や内面を軸にしたターゲット設定例)

 ターゲットは、「健康意識が高く天然水や炭酸水を選ぶことが多い。デザイン感度も高く、自分の生活空間に置いても悪目立ちしないパッケージデザインを選ぶ。デトックスやヨガにはまっている都内在住、アパレル勤務の30代女性」というペルソナです。

 これは、「ウチの顧客は基本的にこういう人たちだよね」「こういう特徴や傾向があるよね」という理解の仕方です。すでにブランドに興味があり、購買行動を起こしているヘビーユーザーやファン向けのマーケティングであれば、その理解の仕方でよいかもしれません。顧客の価値観や行動とブランドが何かしらのかたちでひも付いており、ブランドに対する評価軸(イメージや好き嫌い、利用方法や利用場面など)が存在するからです。

 しかし、ブランドに興味がなく、購買行動を起こしていない「未顧客」をこのようなペルソナで理解しようとすると失敗します。「未顧客」にはブランドとの接点がないため、ブランドの記憶や利用経験が存在しません。その状態で、属性や内面を理解して新しい接点を探そうとしても、手がかりは得られないわけです。

 そもそも、「無関心であること」に理由や原因は存在しません。ブランドに関心が無いとは、特定の価値観や考え方をしている「から」関心が無いのではなく、「ただ」関心がないのです。ブランドが自分に合う合わない以前に、合うか合わないかの検討対象にさえならないから無関心なのです。無関心な人の内面や属性をいくら理解したところで、どうしたらブランドに興味を持ってもらえるかは見えてきません。ですから、「未顧客」のペルソナを作ったり、「未顧客」をプロファイリングしようとしたりしても徒労に終わります。

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