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逆風の茶産業 輸出対応が鍵 日本貿易振興機構(ジェトロ)浜松貿易情報センター所長/永盛明洋氏【本音インタビュー】|あなたの静岡新聞 - あなたの静岡新聞

 長引く茶価低迷や担い手不足など逆風が続く茶産業。国内市場の先細りが懸念される一方で、健康志向の高まりや茶を原料に使う加工食品の多様化を追い風に輸出は堅調に推移している。拡大する海外市場の取り込みを茶業再興の鍵と位置付け、世界の潮流を意識した変革を呼びかけている。

永盛明洋氏
永盛明洋氏


 ―管内の茶産業の特徴をどうみるか。
 「一定のブランド力はあるが、耕作放棄地になった茶園が増えている。製造業などが盛んで、ほかの働き先に恵まれていることが一因だろう。農林水産業が中心の鹿児島県とは異なり、地域にまだ余裕があると言える。ただ、伝統としての茶をどう守っていくかを考えると、従来通りのやり方では対応が難しい。業界内で危機感を共有するしかない」
 ―再興に向けて、どのような着眼点が重要になるか。
 「輸出に目を向けて売り込んでいく姿勢が大事だ。輸出のメリットは、国内の相場を忘れられること。しがらみも排除できる。日本の庶民向け商品を海外で高く売ることに抵抗感を抱く傾向があるが、物語性や倫理、環境配慮などの切り口から付加価値を高めて発信すれば競争力を高められる。消費者の知的好奇心を満たし共感を得られる売り方を考えたい。数字上で輸出量が増えても生産者に充実感や参画意識がなければ地域振興につながらない」
 ―海外輸出で押さえるべきポイントは。
 「最も重視すべきは抹茶など粉末状の茶。食品加工の触媒として便利だ。茶葉を捨てる必要がなく、ラテやケーキに使ったりプロテインと一緒に飲んだりする利用法が広がっている。どのように量を確保していくかが課題になる。有機栽培のニーズも高い。管内には世界農業遺産の茶草場農法があり有機や減農薬の生産が進んできた。市場が何を求めているかをしっかり押さえておくことが重要だ」
 ―どのような支援を展開していくか。
 「リスクを承知の上で、果敢に挑戦する人の個別支援に努めていく。輸出の成功者は皆、苦しい状況に直面するたびに設備投資などで重い決断を下し、動いてきた。目的を持って現地に足を運び、消費者の反応を確かめたり、見本市でトレンドを把握したりする必要も出てくるだろう。茶葉を渡すだけのビジネスは立ち行かなくなる。どう売られるかを理解することが非常に大事だ」

 ながもり・あきひろ 1992年採用。ジェトロ鹿児島所長、本部農林水産・食品部主幹を経て2021年6月から現職。台湾とインド、ベトナムでの駐在経験もある。鹿児島市出身。55歳。

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