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【「鬼筆」越後屋のトラ漫遊記】連覇の鍵握る若虎の突き上げ 「勝負の12日間」で安泰のレギュラー陣を脅かせ - 産経ニュース

19日のスタッフ会議後、報道陣の取材に応じる阪神の岡田彰布監督=兵庫県西宮市(沢野貴信撮影)

若虎は2月12日までが勝負です。チーム内競争の激化がセ・リーグ連覇への大事な要素。主力メンバーに危機感を与える猛アピールを求めます。岡田彰布監督(66)率いる阪神は19日のスタッフ会議で、2月1日スタートの春季キャンプ1・2軍メンバーを決定。野手では前川右京外野手(20)や野口恭佑外野手(23)らが1軍に抜擢(ばってき)されました。ほとんど戦力補強のなかったチームでは若手の突き上げだけが主力選手への刺激剤。2月11日&12日の紅白戦までにアピールがなければ、チーム内に安泰ムード蔓延(まんえん)…の危機ですね。若虎は連覇のためにもガムシャラに近本や中野に挑んでください。

新加入野手は2軍スタート

さあ、いよいよ春季キャンプです。来週の木曜日、2月1日から阪神は1軍が沖縄・宜野座で、2軍は沖縄・具志川で春季キャンプをスタートさせます。今季は球団創設以来初のセ・リーグ連覇を目指すわけで、どのようなキャンプになるのか。注目度も期待度も高まる一方ですね。

春季キャンプに先立ち、1月19日には岡田監督ら1・2軍の首脳陣が集結し、1・2軍のメンバーを振り分けました。リーグ優勝、日本一を獲得した今オフは大きな戦力補強を行わず、1軍キャンプに選ばれたメンバーの中で新戦力といえるのは、新外国人のハビー・ゲラ投手(28)と現役ドラフトでオリックスから獲得した漆原大晟投手(27)、ドラフト2位指名の椎葉剛投手(21)だけです。捕手4人、内野手8人、外野手8人の中には新入団選手が一人もいない、阪神では極めて珍しい現象が見て取れますね。

スタメンほぼ固定

岡田監督は春季キャンプのテーマを聞かれ「やっぱり1年間の体力やで、お~ん。ハッキリ言うて。なんか技術面ばっかりに走って、そこが大けがにつながったりな、そういうのが一番困る」と話しました。心技体といいますが、指揮官は各選手に対して、長いシーズンをけがや故障なく乗り切れる体力作りをまず求めました。

「なんかチャラチャラして慢心するような、そういう感じはないし。まだまだ向上心というか持っている選手の方が多いんちゃうか、今は。大したもんと思う」とも…。

キャンプのメンバー構成や指揮官の言葉からは、連覇を目指す今季の中心戦力は昨季、18年ぶりのリーグ優勝、38年ぶり2度目の日本一を勝ち取った主力メンバーであり、彼らのさらなる成長、伸びしろこそが目標を勝ち取るための重要な戦力アップと考えていることが読み取れます。

オフに支配下登録され、春季キャンプの1軍スタートが決まった阪神の野口恭佑=2023年11月14日、高知県芸西村(安部光翁撮影)

確かに、阪神の今季の予想スターティングメンバーを言えば、1番中堅・近本、2番二塁・中野、3番右翼・森下、4番一塁・大山、5番三塁・佐藤輝、6番左翼・ノイジー、7番捕手・梅野(坂本)、8番遊撃・木浪-とスラスラいえます。岡田監督が「大けがが一番困る」と言うのも当然で、スタメン表の誰かが故障で〝抹消〟されることがV構想に一番響くわけですね。ほとんど固定されたVメンバーが自身のキャリアハイを達成するならば、チームも自然と連覇に近づくという計算でしょう。これはこれで否定しません。

しかし、野球は団体競技です。チームの中に激しいポジション争いや1軍生き残りの競争があればあるほど、対戦相手に向かう強いエネルギーになることも事実です。チーム内が無風で、主力選手たちが刺激を与えられずにプレーするならば、どこかにぬるま湯ムードが漂い、勢いにも陰りが生じます。

明暗分ける紅白戦

では、今の阪神のチーム状況で主力選手たちに強い刺激を与え、危機感をもたらせてくれる存在は何か-。1軍キャンプに抜擢された若虎たちしかいませんね。投手陣で見るならば、プロ2年目の左腕・門別啓人投手(19)であり、椎葉であり、茨木秀俊投手(19)、富田蓮投手(22)です。野手では藤田健斗捕手(22)や中川勇斗捕手(20)、外野手では井上広大(22)や前川、野口でしょう。

春季キャンプで1軍スタートが決まった阪神の門別啓人=2023年11月9日、安芸市営球場(水島啓輔撮影)

彼ら若虎が2月1日からグラウンドで猛烈にアピールし、岡田監督の目に留まり、スタメン表のメンバーを再考させるような存在にならなければなりません。その時、初めて主力メンバーは危機感を覚え、自身のスキルの向上に目の色を変えるはずです。

アピールする時間はそう多くはありません。岡田監督は11日、12日に1・2軍合同の紅白戦を行う考えです。「そうやなぁ、一応、11日、12日に紅白戦やるから。そこでまた(1・2軍メンバーを)入れ替えるから」と話していますね。つまり、1日に1軍キャンプに召集したけれども、紅白戦2試合終了までに存在感を示せなければ2軍降格-と示唆したのです。キャンプインの時点では2軍で調整を行う、投手陣では岩崎や岩貞、島本、加治屋、野手では糸原、原口、島田らが昇格する可能性もあります。若虎たちに与えられた時間は最長12日までですね。

チーム内競争が不可欠

しかし、若虎たちには何としても1軍に生き残り、主力選手たちに刺激を与え続けてほしいものです。早い段階で若い選手たちが脱落すればするほど、主力メンバーの立場は安泰となります。それではチーム内の緊張感が薄れてしまい、相手チームに与えるパワー、エネルギーも薄れてしまいます。

さらに、控えと主力メンバーの格差が広がれば広がるほど、主力の誰かが故障した場合の戦力ダウンが著しくなります。昨季も近本が7月2日の巨人戦(東京ドーム)の死球による肋骨(ろっこつ)骨折で戦線離脱。オールスター戦までの11試合は5勝6敗と失速しました。今季も誰かが離脱する可能性はあるわけで、その時に備える意味でも若い選手の成長はマストで求められます。

2年目右腕の阪神・茨木秀俊。同期の門別啓人とともに1軍キャンプに抜擢された=2023年11月13日、安芸市営球場(渡辺大樹撮影)

「首脳陣は主力選手がまだまだ成績を伸ばせると考えていて、それがほとんど補強をしなかった理由だろう。しかし、レギュラー争いがほとんどないチームというのはどうしても競争力が落ちると思う。チーム内の激しいポジション争いが、グラウンドでの相手に対する闘志に結び付く。若い選手たちが伸びてこないと戦力の厚みという意味でも心配になる」とは阪神OBの言葉です。

現在のセ・リーグで1番から8番までスラスラとメンバーを言えるのは阪神だけです。それはレギュラーの充実という意味では強みですが、逆に弱みに変わる心配もあります。若虎はガムシャラにレギュラーを奪いに行ってください。それが連覇への原動力になるでしょう。期待しています。

【プロフィル】植村徹也(うえむら・てつや) サンケイスポーツ運動部記者として阪神を中心に取材。運動部長、編集局長、サンスポ代表補佐兼特別記者、産経新聞特別記者を経て特別客員記者。岡田彰布氏の15年ぶり阪神監督復帰をはじめ、阪神・野村克也監督招聘(しょうへい)、星野仙一監督招聘を連続スクープ。

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