オリックス球団のオーナーを34年間にわたって務めたオリックス シニア・チェアマンの宮内義彦氏。オーナーとしての苦闘や、プロ野球改革に向けた数々の挑戦や歴史の裏側をまとめた『諦めないオーナー プロ野球改革挑戦記』(日経BP)を刊行した(2023年12月18日発行)。その一部を抜粋、再構成してお届けする。前回の「オリックス宮内氏が明かす球界再編、『1リーグ10球団構想』の真相」に続く今回のテーマは、長期低迷から復活する快進撃を生んだ「改革の鍵」だ。(日経ビジネス編集部)
2023年にパ・リーグ3連覇を果たしたオリックス・バファローズ。長く低迷が続いたオリックスが、なぜ継続的に勝てるチームへと変貌を遂げたのか。それには様々な理由があると思いますが、長い低迷から学んだことが役立ったと言えるような変化が2つ生まれていました。1つはチームづくりの基本となるポリシーを変えたことです。
球団が変えたポリシーとは何なのか。それは「即戦力依存からの脱却」です。「つじつま合わせ」の編成では、チームの中長期的な成長、強化にはつながりにくいと判断し、じっくり育成していく路線へと方針を切り替えたのです。そのきっかけは、14年シーズンの興隆と、直後の15年シーズンの凋落(ちょうらく)にありました。
森脇浩司監督が指揮を執って2年目の14年、オリックスはエースの金子千尋投手が最多勝に輝く16勝を挙げ、シーズン防御率が1点台と活躍。沢村賞も受賞しました。このシーズンは後に日米通算250セーブの記録を打ち立てる平野佳寿投手が40セーブで最多セーブのタイトルを獲得するなどリリーフ陣も安定していました。
打っては糸井嘉男選手が首位打者を獲得し、ウィリー・モー・ペーニャ選手が終盤までホームラン王を争って32本塁打の活躍を見せました。投打で主軸が奮闘したシーズンでした。
ソフトバンクとの優勝争いは10月2日、残り3試合で迎えた直接対決での最終決戦にもつれこみました。ゲーム差なしで首位に立っていたソフトバンクはその試合がシーズン最後の試合。オリックスがここで勝てば優勝にグッと近づき、負けなければ優勝の可能性を残すという大一番でした。ところが、延長戦の激闘の末に負けてしまい、優勝まであと一歩のところで力尽きたのです。
そのシーズンは最終的に80勝62敗2分け(勝率5割6分3厘)。優勝したソフトバンクは78勝60敗6分け(同5割6分5厘)でした。勝った試合の数はオリックスの方が多いのです。でも、順位は勝率で決まります。その差、わずか2厘。たった2厘差でもシーズン144試合(当時)の結果が決まるのがプロ野球の世界です。
14年は優勝を果たせなかった悔しい思いこそありましたが、6年ぶりのAクラスで幕を閉じたシーズンには充実感がありました。チームにとって久しぶりに明るい兆しが見えてきました。
「来年こそは勝ちまくって、文句なしに優勝するぞ」
そう思ったのは監督や選手、ファンだけではありません。オーナーの私だってもちろんそう思いました。球団をもう一段強くするためには補強が不可欠。そのためには親会社の支援も必要になる。これまで「ケチックス」とからかわれてきましたが、ここは補強のしどころだと判断しました。
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