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新入社員「試用期間切り」横行が十分ありえる訳 - 東洋経済オンライン

追い込まれた会社がその手で来たら対抗可能?

アフターコロナには「新入社員が会社に受け入れられる」という当然の流れが覆るときが来るかもしれません(写真:Wacharaphong/iStock)

柄にもない話ですが、私は昨年まで2年間、頼まれて大学でビジネスの講義を担当していました。その関係でいろいろと学生の就活相談にもたくさん乗ってきたのですが、最近そのことでとても気になるニュースがあります。

最初は新型コロナウイルスの感染が広がり始めたころから起き始めた、内定取り消しのニュース。労働契約の法律でいえば内定者は雇用契約とほぼ同等の権利を持っているのですが、学生の多くがそういった知識が教えられていないことから、押し切られて自己都合扱いの内定取り消しを受け入れてしまっているという話を耳にします。

新入社員が試用期間中にクビ?

最近さらに気になり始めたのが、新入社員についてのニュースです。コロナのせいでまだ受け入れ準備ができていないため、自宅待機で一度もまだ出社できてないという不安の声。それくらいならまだいいのですが、もっとひどいケースも耳にします。真偽のほどは定かではありませんが、試用期間中に会社に呼び出されてクビを申し渡された新入社員がいるという話まで、まことしやかに語られています。

こういった話を「ひどい会社もあるものだ」と“対岸の火事”のように批判するのもアリだとは思います。しかし、理不尽な大きな力が働き始めているという観点で、他人事として見過ごして終わりにするのも望ましくありません。特に、最後に触れた試用期間中の解雇は今後、大きな社会問題になる可能性があります。

実際、コロナによる消費減速の影響で経営が苦しくなり、社員を解雇する会社が増え始めました。これからリーマンショックを超える大不況がやってくるのはまず間違いない。では、もし会社の人事部がコロナで急激に収益環境が悪化した状況でリストラ計画を立てたとしたら、どのように社員を整理するでしょうか。

単純に利益を考えれば、給料が高い割に働きの悪い中年社員を切り捨てるのがいいと思うかもしれませんが、労働法規的にはそれは簡単ではない。その尺度で見ると、実は地位が不安定な新入社員こそ危ないのです。

ほとんどの大企業でそうなっているはずですが、入社直後の新入社員は試用期間の身分です。4月入社の場合、6月末(試用期間3カ月)ないしは9月末(試用期間6カ月)までが試用期間になっている会社が多いのではないでしょうか。

試用期間だからといって会社が何でもできるわけではありませんが、仕事への適性を理由に正社員への登用を断ることが可能です。コロナ禍で景気が悪化していくと、この制度を悪用する企業が出始めることが危惧されます。

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