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薬剤性アナフィラキシー制圧の鍵となる新しいシグナル経路を発⾒ | 研究 ... - 九州大学

 薬剤に起因するアナフィラキシー(※1)は、医療安全の観点から頻繁に問題となっています。近年、マスト細胞(※2)に発現するMas 関連G タンパク質共役型受容体(MRGPRX2、※3)を介して薬剤が直接マスト細胞を刺激することでヒスタミン等の脱顆粒を誘導し、薬剤性アナフィラキシーを招くことが分かってきました。しかし、MRGPRX2 受容体と脱顆粒を繋ぐ分⼦シグナル経路については不明な点が多く、本病態の発症を効果的に抑える予防法や治療法は確⽴されていません。
 今回、九州⼤学⽣体防御医学研究所の福井宣規 主幹教授、國村和史 助教、秋好紗弥⾹ 助教らの研究グループは、細胞⾻格制御因⼦であるDOCK2(※4)に着⽬することで、薬剤性アナフィラキシーに関わるマスト細胞の脱顆粒メカニズムの⼀端を解明しました。
 研究グループはこれまで、DOCK2 が免疫細胞においてRac(※5)を活性化し種々の免疫応答に関与することを報告してきましたが、マスト細胞における役割はよく分かっていませんでした。そこで私達は、DOCK2 を⽋損したマスト細胞やマウス個体を解析したところ、薬剤誘導性の脱顆粒反応やアナフィラキシー症状が著しく減弱することを⾒出しました。DOCK2 を⽋損してもマスト細胞のCa2+流⼊や幾つかのシグナル伝達分⼦のリン酸化に影響は⾒られませんでしたが、Rac 活性化およびPAK1 のリン酸化が障害されていました。さらに、野⽣型マウスや健常⼈由来のマスト細胞をDOCK2 阻害剤やPAK1 阻害剤で処理すると、薬剤による脱顆粒が濃度依存的に抑制されました。
 以上のことから、DOCK2-Rac-PAK1 経路は薬剤誘導性の脱顆粒反応に重要な経路であり、薬剤性アナフィラキシー制圧の鍵となる可能性が⽰唆されました。また、マスト細胞のMRGPRX2 受容体を介した反応は慢性蕁⿇疹や接触性⽪膚炎などとの関連も指摘されていることから、各種アレルギー疾患制御への応⽤も期待されます。本研究成果は、2023年2⽉16⽇(⽊)に⽶国の雑誌「The Journal of Allergy and Clinical Immunology」のオンラインサイトに掲載されました。

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